ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内 (知恵の森文庫 t ま 1-1)
ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内 (知恵の森文庫 t ま 1-1) / 感想・レビュー
ケイ
知らなかった。イギリスの書評が宝の山だったなんて。ガーディアン1000で読んだものの、読メでも登録は少なく、どう読んだらよかったのかと後ろ髪を引かれる思いで閉じた本たちがたくさん紹介されていて、今の私にとっては垂涎もの。イギリス人は貸本屋に行くことが多く、作家は食べていくためにも書評を書く。案外そっちの収入の方が高かったりするらしい。立派な書評が書けて一人前ということか。名作に対する名書評を丸谷氏が選ぶ。それに丸谷氏の解説がつくから読みやすい。未読の本もかなりあるから、読みながら書評を読んでいこうと思う。
2016/04/11
syaori
丸谷才一による英国書評名作選。最初に英国の書評について、内容紹介や評価だけにとどまらず、文章も流暢で優雅で個性的であること、何より批評性も備えたものであることを説明するという期待が高まる導入。また各書評の前に編者による書評の書評(?)があるという趣向も素敵です。肝心の書評だって、その「しやれのめした藝」や「じつに上手に敵を叩く」英国書評文化の精華にわくわくし、「読むに価する重要な本の重要性を、普通の読者に向けてすつきりと語る」手際や知識に裏打ちされた読みに感心したりと大変充実。粋な読書案内を楽しみました。
2018/12/21
トンボ玉
「書評というジャーナリズムこそ社会と文学を具体的に結びつけるもの」とする丸谷がイギリス書評の20編ほどを紹介をしています。難しくて理解出来ぬものもありますが、「この本読みたい」と思わせるものもあります。イシグロの「日の名残り」や「源氏物語」北杜夫の「楡家の人々」村上春樹「象の消滅」などでした。世界の輪郭を掴む上での何らかの答えや示唆を求めたり、生活をしていく中での慰めを求めているような読書傾向にある自分にとって、パリーの「村上が絶対に答えや慰めを与えようとしない」作家であるというのは面白い書評でした。
2014/07/11
西條風太郎
イギリスの書評文を集めた本。丸谷才一はこういう変わった本を出す。アントニー・バージェスなどがあちらの偉大な雑誌に寄稿した書評文を読める。膨大な教養と文才の為せる見事な芸の数々には圧倒されるが、僕の教養レベルが全く足りていないのでイマイチ魅力を味わいきれなかった所もあるのが残念。しかし村上春樹「象の消滅」やカズオ・イシグロ「日の名残」の書評を読む限り、教養の壁のこちら側で書かれているものについては、正解か不正解かはともかく、着眼点や感性が確かに面白く、文体も美しい。久しぶりに難しい小説を読みたくなった。
2012/11/27
冬薔薇
現代イギリス書評名作選。イギリス人はこれらの書評を参考にして本は買わず貸本屋で借りる、気に入った本はペーパーバックになるのを待つ。短編小説一つ書くより書評のほうが収入が多いという、等々面白い。「たった一人の反乱」新刊時に買ったがそのまま積読数十年!やっぱり探して読もう。書評では「一人分のチャーハン」と題がついてる。読みたいと思っていた本が何冊もあるが難しそうでなかなか手が出ない。既読は「日の名残り」「愛人」「ライ麦畑でつかまえて」、「源氏物語」はウェイリーとサイデンステッカーの翻訳比較が面白かった。
2017/05/20
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