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無暁の鈴 (光文社文庫)

無暁の鈴 (光文社文庫)

無暁の鈴 (光文社文庫)

作家
西條奈加
出版社
光文社
発売日
2021-04-13
ISBN
9784334791872
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無暁の鈴 (光文社文庫) / 感想・レビュー

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あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

西條さん2冊目は、命を見つめる骨太作品。武士の家に生まれるも、義母や義兄に疎まれて寺に修行に出され、そこでも失望を味わい、仏の道を捨て流浪の人生を歩むこととなる無暁。人は人を救えるのかといったことを突き詰め、自らも苦悩の中を生きる。ただ、明けることのない闇の中にも、一条の光は見いだしたはず。それは友であり、師であり…。ラストに小さく鳴り響く鈴の音が繋ぐ命の糸があまりにも儚すぎて切ない。

2021/08/26

ふう

素晴らしい作品を読んだのに、作中に描かれた不条理と、ウクライナで現実に起きている不条理が重なって、どう感想を書けばいいのか一日考えていました。弱い立場の人、貧しい人々は何に救いを求めて生きていけばいいのか。この世でつかめなかった幸せは次の世にあるのだろうか。答えは見つからず、主人公無暁は悩み続け、少しでも人々の救いになれたらと自分を苦しめ続けました。無暁の他者への深い思いと強さに胸を打たれましたが、最後の場面では、無暁が生きていること、ともに生きることが答えではないかと思いました。

2022/02/25

ふじさん

戸田家の庶子として生まれた行之助は、家族に疎まれ村の寺に預けられるが、裏切りや心を通わせたしのの死で寺を出て名前を無暁と変え、偶然知り合った万吉と江戸に向かう。悶着をきっかけにやくざの沖辰一家の世話になるが、やくざの諍いに巻き込まれ、友の万吉を亡くし、人殺しの罪で八丈島への島流しになる。まさに、波瀾万丈の人生が始まる。長い社会の底辺で暮らす人々を目の当たりにして、憎み否定した仏教に再び向き合うことで、現世に絶望している人々を救うべく、余生を過ごすことになる。過酷な千日行や木食行で無暁が目指した境地は何か?

2023/05/11

のぶ

非常に胸打たれる仏門に帰依した人物の生涯を描いた物語だった。武家の子、行之助は手ひどい裏切りにあって村を捨て、無暁と名を変え、ひょんなことから一緒になった万吉と江戸に向かう。とある事件で人を殺め、八丈島に島流しに遭う。飢餓と病気が襲う島だが、ここでの生活の描写がとても良い。赦免で無暁は22年ぶりに江戸に戻ることになった。久しぶりに見る江戸は大きく変わっていた。その先に無暁が向かったのは出羽三山だった。そこで無暁が目指したのは・・。直木賞を機に読み始めた西條さんだが、この作品もとても良かった。

2021/05/01

shincha

壮大な物語。無暁の人生を通じて、生きていく事の苦しみ、悲劇、幸福からの転落、自然の前での人間の無力さ、生と死の極限状態、人の情け、優しさ、別れ、むごさ…が描かれている。妾腹の三男坊→寺に預けられ→住職の裏切り→親友との出会い→ヤクザ→親友の死→仇討→島送り→人の優しさ→親の愛→極限状態の人の様→修行の意味→千日行→即身仏。この間の無暁の心の変遷を読者は主人公と一緒に旅する事になる。心に残る一冊となった。

2023/04/06

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