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平場の月 (光文社文庫)

平場の月 (光文社文庫)

平場の月 (光文社文庫)

作家
朝倉かすみ
出版社
光文社
発売日
2021-11-16
ISBN
9784334792657
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平場の月 (光文社文庫) / 感想・レビュー

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あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

50代の恋。自分が二十歳位のときなら、おえー、って感じだったかもしれないけど、いざこの歳になってみると、んっ?あってもおかしくないかも…と。「この人と生きていきたい」、に年齢なんて関係ない気がするし。はじめから結果が分かっている物語なだけに、妙におどけてかっ跳んだ会話との対比が逆に妙に切ない。待ちきれない時間と、もうすでに行きつくことのないその日。この状況で一年後の約束は残酷すぎた…。

2021/12/02

エドワード

青砥健将は、腫瘍の検査で訪れた病院で、中学校の同級生、須藤葉子と再会する。青砥は離婚を経験、須藤は夫に先立たれた。五十歳の二人が、中学生に戻ったような恋をする。ところが須藤も大腸癌に冒されていた。須藤を思いやる青砥、青砥に惹かれながら、引け目を感じる須藤。「この人と生きていきたい」「ちょうどいいしあわせ」ほぼ二人のセリフで綴られる二人芝居。全編に溢れる静かな情感。冒頭で須藤の運命が明かされているのが哀しい。駐車場の隅に植えられたハーブのような、市井のささやかな人情、もののあはれ、とはこのようなものだな。

2021/12/04

サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥

朝倉さん、初読みでした。偶然にも中学の同級生須藤と再会した青砥。そこからゆっくりとした二人の付き合いが始まる。50代、老いらくの恋と言うほどではないが、熱く燃えるような歳でもない大人の恋。恐らく若い頃に読んだら「うわー、これ無理!」と投げ出しただろう。冒頭で結末がわかっているのにじっくりと読んでしまうのは私もそれなりに歳を重ねたからだろう。人を好きになると言う気持ちはいくつになっても無くならない。しんみりとした大人の恋でした。★★★+

2021/12/19

ふう

読み終えて時間がたつほどに切なさがつのる物語です。自分で選び歩んできた道のりなのに、人はなかなか幸せだと思う場所にたどり着けません。やっとたどり着けたと思ったのに、指の間から落ちていく砂のように、握りしめることのできないまま消えてしまいました。ささやかな、ささやかな「夢のようなこと」は、夢のまま遠くへ去ってしまいました。こんな愛の形もあるのだと、男の思いも女の思いも悲しすぎて、感想を書いている今も涙がこみ上げてきます。

2022/01/18

のんちゃん

中学の同級生青砥健将と須藤葉子は50歳になって、偶然再会し、お互いに想いを寄せる。が、須藤はガンを患っており、二人は付かず離れずの関係を保ち病に打ち勝とうとしていたが、という話。一貫して青砥語りの本作は、読者も青砥と一緒に須藤の闘病を経験し、須藤に対する想いを深める為、読後、その結末に青砥と共に空虚になる。また、朝倉さんにままならない世の中を見せつけられ、人生の厳しさを感じる。須藤の今際の際の言葉が、これからの青砥の支えになるのかな。大人の恋愛という華やかさは感じられず、正に平場の「生」の物語だった。

2022/06/20

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