さよならは祈り 二階の女とカスタードプリン (光文社文庫)
さよならは祈り 二階の女とカスタードプリン (光文社文庫) / 感想・レビュー
しんごろ
戦後の昭和、平成を行き来しながら物語は進む。一家七人の服部家。その次男坊の勇が主人公。戦後、服部家の長屋の二階には、進駐軍相手の街娼(ぱんぱん)が住んでおり、奇妙な共同生活を強いれる。貧困のためになりふり構わず生き抜く姿は、逞しく美しくも感じた。勇の汽車での出来事は、心の中で応援してしまい力が入った。一方、平成では勇は兄の介護に追われる。勇は74歳。兄や北原を気にかけるあたりは、戦後の生活の経験値があったからだと思う。ラストは読者に委ねられた感じ。戦後の生活の情景が、しっかり浮かんだ物語だった。
2024/05/16
相田うえお
★★★★☆22040【さよならは祈り 二階の女とカスタードプリン (渡辺淳子さん)】東京近江寮食堂シリーズが面白かったので他の渡辺さん作品を選んでみました。本作品、平成と戦後昭和を行き来しながら話が進行していく構成となっています。昭和セクションでは戦後の混濁した日本に生きる庶民、それも女性,子供の日々のありさまが見えてくるようでした。そして、そんな舞台で起こった出来事に感情が揺さぶられました。ジーンと。平成セクションは昭和セクションと繋がっていて、これまた心に響く話です。オススメしたくなる作品でした。
2022/05/09
ゆうぴょん
図書館本。戦後まもない貧しい日本と、認知症の兄を見舞う平成とを行き来しつつ書かれた作品。戦後、貧しかった女性がアメリカ兵士の現地妻になっていたという話は知っていたけれど、実際は重いなぁ…。混血児を育てられなくなる母の切なさ、ホームに赤ちゃんを連れて行く主人公の大変さと。平成版での再開はあっさりなのですが、プリンはいろんな意味でキーワードになってくるのです。まぁ、ハッピーエンドなのは救いです
2022/05/14
ふむ
戦後の生きることに必死な日本の人々が描かれていた。しかし、その空気感は戦争を知らない自分が想像するのと一緒でさらりとしたものだった。戦後はこんなものだと教科書で読むような。作者が体験してないと知っていて読んだからか。子どもが一生懸命考えて頑張った先に、葛藤があり、さらに救いがあり。本当は大人が労うべきだが、皆必死で、早く大人になってほしかったから、子ども扱いしなかった。そういう時代ではあったのかも。それに比べると、今の日本は、子どもを守り過ぎて、成長を遅らせているのかもしれない。
2021/12/18
なんてひだ
あーそうだ、G1プリンだったよ。題名のインパクトで覚えてたよ、特に差別用語だとは思わないが、パンパンとかそうなんだろうか。とつとつと戦後のアメリカ軍がいた時代を描いているし、あまりにも日常的にあるのが響いた。日本人の生活レベルに顔を殴られたとか幸せとかけ離れた生き方の女性たち、私たちがいたから喜んだままアメリカに帰ったと言うのが響いた。幾つもの苦労の上に現代平和が存在してる、背けたのではない教わらない戦中戦後の歴史、なぜ日本の政治家はくだらない事ばかりしてる、こんな大事なものを残さないの?
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