競歩王 (光文社文庫)
競歩王 (光文社文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『競歩』というスポーツに青春をかける大学生・八千代の姿を追う中に、『競歩』の魅力にハマってもいく大学生小説家・榛名忍が小説を生み出す苦しみを描いていくこの作品。そこにはそれぞれの道に青春をかける登場人物たちの姿が描かれていました。未知のスポーツ『競歩』に対する知識が大きく培われるこの作品。額賀さんらしく”青春物語”になくてはならない恋愛要素もきっちり盛り込まれていくこの作品。まったく興味のカケラもなかった『競歩』というスポーツ。そんなスポーツをじっくり見てみたいという思いに満たされた素晴らしい作品でした。
2023/12/28
おしゃべりメガネ
ハードカバーで新刊時に読んだトキ(2019)はまさか東京オリンピックが延期になるなんて思いもしなかったですよね。競歩の会場が札幌に変更になりと、すったもんだしてました。先日、作者さんの東京オリンピックモノを読んで、久しぶりに手にとりました。作者さんはいい意味で意外とスポーツモノを書かせたら、なかなか夢中になれる作品を書いてくれています。今回も正直あまりメジャーとは言えない競技をなかなか興味深く綴ってくれています。しかも作家さんの苦悩もリアルです。これからも色んなスポーツモノを読めるコトに期待したいですね。
2024/03/15
よっち
天才高校生作家と持て囃されてデビューしながら、その後は燻っていた大学生・榛名忍。競歩のリオ五輪ハイライト番組を見て号泣する八千代と出会い競歩という競技にのめり込んでゆくスポーツ小説。最初は気乗りしないまま始めた競歩の取材。そんな忍に不機嫌を隠そうともしない八千代を追ううちに自らの苦悩も重ねて、ライバルたちと競い東京五輪を目指す八千代の苦闘のめり込んでゆく展開はとても重く苦しかったですが、それでも向き合い続けてきたからこそ見えたもの乗り越えられたこともあって、そんな彼らの結末にはぐっとくるものがありました。
2022/06/14
なみ
スランプ中の作家、忍が、競歩の小説を書くため、選手の八千代を取材する青春小説。 数字に縛られる執筆活動、挫折から始まった競技人生。 現実の厳しさをしっかり盛り込みつつ、熱いエンタメになっているのはさすが。 キャラクターもみんな素敵でした。蔵前さんと百地さんが好き。 正月の亜希子とのシーンが印象的で、心がギュッと握りつぶされる感覚になりました。 競歩という題材も新鮮で、競歩の面白さが伝わってきます。 悩みや不安を抱えた読者に「負けるな!」と、エールを送ってくれる1冊でした。
2022/08/04
4丁目の父ちゃん
天才高校生小説家 榛名と箱根を断念し競歩へ転向した競技者 八千代の物語。思わず一気読み、亜希子さんに愛理さんと彼らと関わる対照的な女性陣も面白かったですね。競歩と小説家というちょっと変わった組み合わせが新鮮で一気読みにつながったのかもしれません。小説家の主人公の書いた「歩王」ウォーキングと読むそうですが、こちらも出版してほしいですね。
2023/02/22
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