酔(ゑ)ひもせず 其角(きかく)と一蝶(いっちょう)
酔(ゑ)ひもせず 其角(きかく)と一蝶(いっちょう) / 感想・レビュー
なゆ
絵師・多賀朝湖(暁雲)と俳諧師・宝井其角の話、ということで読んでみるのだが、どうにもそちらの仕事にはちょこっとしか関わらず。結局幇間としての狂雲堂と狂雷堂のふたりが吉原で起こった「遊女の神隠し」の謎解きをするといった話だった。まあ、ふたりのやりとりは微笑ましく、どことなく暁雲の影のある雰囲気もよくて、それはそれで楽しめる。そんな日々が続くのかと思ったら、切ない終わり方にしんみり。朝湖から名を変えた〝英一蝶〟の由来もまた、切ないではないの。
2016/09/01
aquamarine
屏風に描かれた犬が動くところを見た遊女が次々と姿を消す。その謎を解こうと奔走する俳諧師其角と絵師暁雲。時代ミステリとして二人の役割分担や友情も含めて活躍をハラハラしながらも楽しんで読みました。二人の関係がとてもよかったです。ところが事件の全貌が明らかになった後は、事件以前の過去の話は報告する形で軽くまとめられてしまっていましたし、後の二人についても実在の人物ゆえに忠実になぞっているのか悲しい結末で残念です。そんな思いで読み続けた後のラスト数ページは思いがけずに綺麗で切なくて本当に泣かされてしまいました。
2015/06/08
ゆかーん
江戸時代の吉原にて。「動く屏風の犬」を目にした、3人の遊女が次々と行方不明に!松尾芭蕉の弟子の其角と友達の暁雲は、二人の太夫にせがまれ、彼女たちの失踪の謎を解き明かします。失踪した3人の遊女の中でも、最も哀れな千里さんは、心の臓の病を抱える遊女。彼女を苦しみから少しでも解放するために、加助という男は悪いと分かっていながらも、彼女に阿片を渡します。見受けを拒否して吉原で生き続けたい気持ちと、初音のように幸せに手打ちになりたい想い…。千里の二つの複雑な気持ちが、3人の遊女の失踪事件の発端のように思います。
2016/08/12
ゆずぽん
屏風に描かれた子犬が動き、それを見た遊女が姿を消す、その謎は・・吉原の遊女の哀しさ、そこに生きる覚悟など全編通して物悲しい流れでしたが面白かった。なにより、ラストの手紙が切なすぎた。思い出話しになるのかな?続編もあるようなので、楽しみです。
2018/04/17
わんこのしっぽ
俳諧師、其角と絵師、多賀朝湖の二人が吉原を舞台に謎解きをする。本編も面白かったけれど、後日の二人の語りが秀逸!読後の余韻を倍増させてくれる~そこに至るまでの本編での遣り取りがあるからの結びだけれど、心地の良い余韻は中々ないのでつい嬉しくなる。ただ装丁は私の好みじゃないな…残念(笑)
2015/03/19
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