晴れたらいいね
晴れたらいいね / 感想・レビュー
さてさて
ある出来事の中に意識を失った一人の看護師が、まさかの戦時下、昭和十九年のマニラで『従軍看護婦』として活躍する様を描くこの作品。ドリカムの名曲「晴れたらいいね」が象徴的に歌われるシーンが登場するこの作品。この作品を読んで、今後間違いなくこの曲を聞く度に、この作品のことを、『従軍看護婦』という言葉を、そして戦争というものがどれだけ恐ろしいものであるかを思い出すだろう、そんな風に思いました。読書という次元を超えて、私の中に強い衝撃を与えたこの作品。平和というものの大切さを強く願う気持ちで胸が熱くなる絶品でした。
2022/09/12
馨
戦場へとタイムスリップした看護婦の主人公が従軍看護婦(赤十字)として生き抜く話。従軍看護婦の話は今年の某終戦ドラマで知りました。敵味方関係なく負傷者を助けるのが仕事、命に差なんてないというのもわかるし、軍から見れば敵を助ける分の薬があるなら友軍を助けろというのもわかります。あの時代、看護婦は看護婦として、軍人は軍人として、国民が本当に皆それぞれの立場から戦争をしていたのだとわかります。
2015/10/11
zero1
戦争は精神まで殺す。「生きろ!」というメッセージをこれほど強く伝えた作品があったか。24歳の看護師、紗穂は植物状態だった老婆サエの意識が戻るのを見た。直後に地震が起きる。彼女は44年のマニラで従軍看護婦のサエとなっていた。敗走する日本軍。食料や医薬品も無く患者にはウジが。その中で何とか生きようとする看護婦たち。欠点はあるものの、後半は婦長の決断など泣けて仕方なかった。戦争を知らない代が歴史を語り継ぐにはこうした作品しかないのではないか。看護師の藤岡だからこそ描けた世界。多くの人に読んでほしい一冊。
2019/03/30
おしゃべりメガネ
【戦後70年】こんなにワクワク&ハラハラ、ドキドキ、そしてラストで感動と涙のビッグウェーブに出くわした作品は最近、ちょっとなかったのでイッキ読みでした。看護師「紗穂」は患者「雪野サエ」を診察している最中に、原因不明の地震と共に1944年の戦時中、マニラへ「雪野サエ」としてタイムスリップしてしまいます。体と心が一致しないまま、周囲のサポートを得ながらも自分を見失うコトなく、前向きに、そして患者を、命を何よりも優先に過ごしていきます。戦争を題材にした中で、看護師にスポットをあてた作風は藤岡さんならではです。
2015/08/16
紫 綺
よくあるタイムスリップ物ではあるが、その中身は終戦直前の戦火厳しいフィリピンを舞台に、必死に命を救い、必死に生きようとする従軍看護婦をリアルに描く感動作。戦時中の人々の苦しさが、熱風のように駆け抜ける。
2015/10/14
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