白日の鴉
白日の鴉 / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
痴漢冤罪と聞いて真っ先に思い出すのは、映画「それでも僕はやってない」だ。否認を続ける限り釈放されず、裁判に持ち込まれた時点でほぼ有罪判決。やっていないことを証明するのはまさに悪魔の証明であり、明白な証拠が無い限り無罪を認めさせることは不可能に近い。今作では逮捕から勾留・裁判まで、冤罪が生み出される過程や地獄の日々、交番勤務の警察官の厳しい実情がリアリティを伴い緻密に描かれ、それぞれの心情描写もまた非常に読み応えがあった。物語自体はドラマっぽい展開ではあったが、改めて司法の恐ろしさに震撼させられる作品だ。
2018/03/19
chiru
有罪率99.9%の痴漢冤罪事件。 罠にかけられた友永、弁護士、新米警官の3人が真相を手繰っていく。 拘留中の友永への凄惨な仕打ちに読み進めるのが辛くなる。 本当に怖いと思ったのは正義の不在ではなく、警察、検察、裁判官の心象風景に『悪意』が存在しないこと。 原則である『疑わしきは罰せず』は、痴漢に限り例外とされ、親告者の信用性が全て正しい前提の捜査に怒りで震えそうになる。 無罪を勝ちとっても、失った信用のすべてを取り戻すことは難しく、続く道は険しいかもしれない。 重厚な作品に圧倒されました。 ★5
2018/05/28
ゆみねこ
痴漢容疑で製薬会社のMR友永が駅前交番の新人警察官・新田真人に逮捕された。無実を訴えた友永、被害者と目撃者の関係に疑念を抱く真人。老弁護士五味が加わってストーリーが一気に動く。やってないことをやってないと訴え続けることの大変さ、事なかれ主義の上司、冤罪を仕組んだ黒幕。面白くて一気に読了。
2016/03/09
GAKU
製薬会社のMR・友永は見知らぬ男女から電車内で痴漢の疑いをかけられ、駅前交番の新人巡査・真人に逮捕される。友永は無実を訴えるが、聞き入れられず留置場へ。逮捕はしたが、真人は被害者の女子大生と目撃者の中年男に疑いを抱き、老弁護士・五味に協力を求める。友永の冤罪を軸に、新人巡査真人の交番勤務と警察組織の実態、老弁護士五味の法廷シーンとどれも興味を惹かれるストーリーが展開し、さらに痴漢冤罪の裏には深い犯罪の影が。500頁強の作品でしたが、2日間で一気に読んでしまいました。面白かったです。
2016/03/21
金吾
起訴されたらほぼ有罪という検察が神のような日本において、痴漢冤罪はいつ自分に降りかかるのかわからない恐ろしさがあります。また警察、検察、弁護士もこの通りならば恐ろしいです。話は引き込まれる部分があり面白かったです。また男性専用車をつくってほしいです。
2022/07/04
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