くれなゐの紐
くれなゐの紐 / 感想・レビュー
ゆみねこ
祝言の前日に身投げをしたはずの長姉ハルが生きていた!?姉を追い浅草六区にやってきた仙太郎と少女ギャング・紅紐団。混沌とした大正時代の風俗が垣間見え、面白かったです。ハルのバイタリティが凄い。
2016/10/20
のぶ
須賀しのぶ作品は、前作「革命前夜」がとても良かったので、続けて手に取ったのだが、大正末期の少女ギャング団の話だというギャップに、読む前はちょっと戸惑った。読んでみたらそれから連想されるアクションなどはほとんどなく、しっかりと人物を描いたドラマで好感を持った。この話、現代に設定を移しても成立すると思うが、当時の浅草の世相、風俗をうまく取り入れてより面白い話に仕上がっている。この2作を読んで信頼できる作家だとよく分かったので、できる限り過去の作品も追いかけてみたい。
2016/04/30
そうたそ
★★★☆☆ 自殺を装い姿を消した姉を探す仙太郎は六区を牛耳る少女ギャング団紅紐団の団長である操につかまってしまう。姉の捜索のため、男性でありながら紅紐団への入団を志願する仙太郎は厳しい入団試験を課せられることとなる。つくづく作風の幅の広い作家さんだなと感心しきりである。どこかノスタルジックな雰囲気をも感じられる作風に緊迫感を併せ持った冒険活劇のような作品。ストレートなエンタメであり、骨太ながら勢いにのせられて一気に読める。ただ傑作だった「紺碧の果てを見よ」「革命前夜」辺りの作風に比べると少し劣るか。
2016/05/12
ひでちん
氏は本当に作風が幅広くて多才ですねぇ‥‥‥自分的に、今まで読んだ須賀しのぶ作品の中では異彩を放つ内容だったが、野球物・戦争背景物含め今作が1番面白かった。 ギャングという組織において、裏切り行為をした者には血の粛清が待っているにも関わらず、仙太郎とあやを逃がしてくれた倫子。 (太田との対峙に若干利用したとはいえ‥‥)あくまでも郁子として静江との友情を貫き、強く王道に生き、世を変えようと決心した仙太郎。 色々紆余曲折の上、関東大震災の前日付で終わってはいるが、未来への希望は多少なりともあったかと思う‥‥
2021/09/27
はるき
さすが、須賀しのぶさん。今回も重厚で重たい歴史ロマンだった。男装の美少年が少女ギャング団に姉を探すために入団するという設定は少女小説のようだけど、須賀さんにかかると当時の社会情勢や人間の業が見事に絡まっていく。思ったより綺麗にまとまって終わったのは正直意外だった。
2016/04/25
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