乗りかかった船
乗りかかった船 / 感想・レビュー
ウッディ
北斗造船という中堅造船会社の色んな部署で働く人達の連作集。サラリーマンには異動はつきもの、自分の希望する部署でやりたい仕事ができるわけではない。それでも与えられた仕事をやってみようよ!きっと自分なりのやりがいが見つかるよ‥「乗りかかった船」なのだから。そんな著書の想いが込められたタイトルだと思った。経営者、上司、部下みんな良い人で、綺麗事すぎる感はありましたが、色んな部署が協力して船という大きな建造物を作るという造船会社ならではの連帯感が少し羨ましく、明日からも仕事を頑張ろうと思える物語でした。
2018/06/17
hiro
中堅造船会社を舞台に、希望でない人事課に来た社員、訳ありで人事部から組立課へ異動した女性社員、社内公募に応募する組立課の社員、技術開発部の新任課長、技術開発部長から事業戦略室長に栄転となった女性幹部社員、北海道造船所長として単身赴任する元事業戦略室長、そして最後は新社長と、若手社員から管理職、幹部、トップが順に主人公を務める7編の連作短編集。若手社員には応援を送り、課長には共感を感じ、幹部、トップには「ご苦労様です。そして北斗造船の舵取りをよろしく」と声をかけたくなった。やはり会社は人事が大切だ。
2018/03/13
モルク
造船会社に働く人々の人事にまつわる連作短編集。人事による配属が希望するものではなかったとき、会社側は適材適所といい君の能力に期待しているとは言うものの、本人には不条理に感じることも多い。ましてや同期が不平を言いながらも生き生きしている姿を見ると落ち込みも激しい。一人一人に家族や事情があり、妥協しながらも会社という大きな船に乗り動かす、良い意味で歯車となって今まで自分も知らなかった自らの価値を見いだすのもいい。前向きですがすがしい話だった。
2019/09/16
kotetsupatapata
星★★★★☆ お仕事小説と銘打つ本は数知れずですが、新人から中間管理職、さらには役員クラスまでの様々な“人事”に纏わる悲喜交々7編の連作小説でした。 働いている人なら、登場人物の誰か彼かに共感すのではと思います。ちなみに小生は新たに課長に昇進したものの、勝手が分からず悶々としている「櫂を漕ぐ」がベスト。 小生も川瀬さん同様に、皆と協力して仕事を進めるよりかは、一人でコツコツと己のペースで仕事をしたい派なので、気持ちは痛いほど伝わってきました。 でも地位が人を育てるとも言いますし、今後の活躍を祈ります
2022/07/13
ゆみねこ
北斗造船に勤める人々を描いた連作短編集。人事異動がキーになっている。望んだ部署に配属されず悩む男、転職し人事部を経て建造部で溶接業務に励む女性社員、社内公募で部署を移ることを考えている男、管理職になり部下との関わりに戸惑う男など、7つのパートから。人事部長の倉内さんがキーマン。じんわりと心に残る良作でした。
2017/09/28
感想・レビューをもっと見る