みちづれはいても、ひとり
みちづれはいても、ひとり / 感想・レビュー
さてさて
母親からの虐待、母親の自殺、失業、結婚と流産、そして別居、失業、極貧の生活を送る弓子、自堕落という言葉を象徴するかのような存在の楓。23編に渡って二人の主人公な視点切替で展開する物語。”二人で同じ道を歩む”という『みちづれ』という言葉。しかし、この言葉を反転させてしまう『ひとり』という言葉の影。人は、結局はひとり、最後はひとり寂しく死んでいくしかない生き物です。『もう負の感情のゴミ箱になるのは嫌だ』と叫ぶ弓子。『歩け、という声がする。頭の中で』。それでも歩いていく他ない人間という生き物を感じる作品でした。
2021/02/28
fwhd8325
物語に、自然と入ることができました。男はどうにもふがいないように描かれています。あれもこれもいい顔をするのがいけないのでしょう。優しさなんか自己満足に過ぎない。それにしても主人公の弓子は逞しい。しっかりと地に足がついているように感じます。それはこの後に続く寺地さんの作品にも共通しているものだと思います。タイトルは、頼れるのは自分自身と言う強い思いを感じます。
2020/08/22
おしゃべりメガネ
今から3年前に書かれた寺地さんの作品だけあって、最近の作風とはちょっと違った感じがしなくもないです。ここ最近の寺地さん作品はまさしく包容力みたいなものが、我々読者のココロをふわっと包み込むような感覚を与えてくれますが、本作はなかなか荒削り?で結構直球な感じがバシバシきます。失踪した主人を探しに出るアラフォー女性二人旅の話ですが、二人交互な目線で淡々と綴られていく作風はすらすらと読みやすかったです。最近の寺地さん作品の雰囲気を求めていると、ちょっとした違和感があるかもしれませんが、私は好きな作品でしたね。
2020/08/22
ネギっ子gen
「お金も残された人生の時間もあんまりない」女ふたり。夫と別居中で求職中の弓子39歳。独身で休職中の楓41歳。休息と気分転換を求めて「(失踪した元夫)宏基をとっちめるツアー(仮))」に出たが……。楓の思い。<あたしはひとりぼっちだ。誰と一緒にいても、そうなのだ。むしろ誰かと一緒にいるときのほうが強く、孤独を感じる>と、ラストの弓子の述懐。<ひとりだ、とまた思う。夫婦だって、友だちだって、一緒にいるだけで「ふたり」という新たなにかになるわけではなくて、ただのひとりひとりなのだ>が、この題名に繋がったか……。⇒
2020/08/22
mariya926
夫の甘えに耐えられなくなり別居をした途端、失踪してしまいます。夫の生まれ故郷である島に、隣に住んでいる友人と行きますが···。最初は大人の恋愛?かと思いましたが、そうでもありませんでした。しかし年代的に納得できるというか、分かってしまいます。若い時に読んでいたらあまり面白くないかも?というか良く分からないかも?結婚していても、友人が一緒にいても、結局はひとりなんだよって諭している感じでした(笑)。普通ってこうでしょ?と押し付けてくるシズさんにはちょっと閉口しました。
2022/10/16
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