銀の夜
銀の夜 / 感想・レビュー
starbro
角田 光代は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者久々バリバリの新作かと思いきや、15~17年前に書いて、著者が書いたことも忘れていた未単行本化の作品でした。元少女バンドの三人の20年後のリアル、三人共成長していない感じですが、読み応えがありました。 https://www.bookbang.jp/review/article/651993
2020/12/23
さてさて
角田光代さんが”仕事場の大掃除”の中に偶然にも発見したことをきっかけに刊行されたこの作品。角田さんの作品の王道とも言える三十代の女性の葛藤と苦悩をテーマにしたこの作品。長い人生の中で『人生のピーク』と感じる時間は決して長くは続かないものです。しかし、そこからが本当の人生の始まりでもあります。きっとくる次のピーク、生きている限りきっと訪れる人生の新たな頂へ向けて苦悩の中にも一歩前に歩み出す主人公たち。そんな主人公たちに幸あれ!そんな風に感じた、角田さんの王道の作品らしさを強く感じさせる素晴らしい作品でした。
2022/08/24
ウッディ
同級生でガールズバンドとして芸能デビューした三人。時は流れ、別々の人生を歩み、たまに食事をしながら、他の二人と自分を比べてしまう彼女たちの今を描いた物語、浮気する夫に嫉妬さえできないちづる、娘にかつての夢を託す麻友美、そして母の呪縛から逃れられない伊都子、イラストレーター、写真家、セレブママ、それぞれ目指すことで充足感が得られない彼女たちが本当に欲しかったのは、何かに向かって夢中になれる生き甲斐だったような気がする。ドロドロになりそうな一歩手前で踏みとどまり、迎えた結末は爽やかで、希望を感じさせた。
2021/09/04
いつでも母さん
この3人の同級生(ちづる・麻友美・伊都子)15歳からの付き合いで今35歳。三者三様の気持の何処かにいつかの自分を見ては苦笑いの私…経てきた今だから「大丈夫よ。だいじょうぶ。」あの頃の私に言ってやりたい。ちっとも大丈夫なんかじゃなかったのに、それでも今ここにいる。「若かった」そんな言葉じゃ語れない友情や恋愛や日常…悔恨の情を偽善の衣を纏い出口の無い沼で独りもがいてた、あの頃のざらつく想いは今も苦いけれど、そんな日々さえ愛おしく懐かしい。彼女たちのその後を読んでみたいと思わせて角田さんが巧い。
2020/12/15
のり
15歳の少女達が20年経っても連絡をとりあい、ちょくちょく会って近況を報告する三人組。結婚や出産等で彼女達を取り巻く環境は様々だが、思い遣る気持ちは変わりないが、隣の芝は青い現象も心の底にある。それぞれに言葉に出せない悩みがあるが…やっぱり男同士の付き合いより面倒事が多々あると思う。大変だ。一段上手く付き合い方をみつけ、あとがきに「角田」さんが言ってたように今なら50歳になっている彼女達。あれからどんな生き方をしてきたのか想像するだけで色んな意味で楽しい。
2021/04/20
感想・レビューをもっと見る