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ヘーゼルの密書

ヘーゼルの密書

ヘーゼルの密書

作家
上田早夕里
出版社
光文社
発売日
2021-01-19
ISBN
9784334913823
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ヘーゼルの密書 / 感想・レビュー

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starbro

直木賞候補作、『破壊の王』に続いて、上田 早夕里、2作目です。開戦前夜の和平交渉の物語、歴史ノンフィクションのような雰囲気でした。本書の時代は、船戸与一の『満州国演義』や浅田次郎の「蒼穹の昴」シリーズ等で描かれていますが、それらの秀作と比べると、どうしても見劣りしてしまいます。 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334913823 3月は、本書で読了です。

2021/03/31

のぶ

上田さんの作品を初めて読んだ。今までSF作家というイメージがあり敬遠していたためだが、タイトルを見て読んでみたくなった。骨太で重厚な物語だった。日中戦争の和平工作を描いた話だが、あまりこの戦争について知る事がなく、興味深く読ませてもらった。自分はスパイ小説が苦手なので、その部分については分かり難い部分もあったが、良くできた本だと思った。主人公にあたる今井武夫は実在の人物のようで、史実として日中戦争の和平は実現しなかったが、獅子奮迅の活躍で、政治の世界で戦争を終わらせることの難しさを感じさせられた。

2021/02/08

Aki

満州事変から日華事変最中の上海租界を舞台に、日中和平工作に奔走する人々を描く。戦時中の異国で文化対立や差別もある中でも、悲壮感ではなく朗らかに凛として生きていく姿が清々しく描かれる。対日中だけでなく欧米列強の思惑にも翻弄され結局は濁流の如く戦下へなだれ込むまでの、いくつもあったであろう実を結ばなかった和平工作。ラストに仄めかされているように、数十年後に花開くと信じて今出来ること精一杯行うことの気高さが印象に残った。圧倒的な世界観のSFジャンルから、全く別の面を見せてくれる筆者、さて次作は如何に?

2021/06/22

RIN

SF出身の上田さんの近代歴史小説。何となくよく知らない日中事変後の和平工作がテーマ。現代に生きる我々は、太平洋戦争で戦争回避ができなかったのか?とか一刻も早く終戦に持ち込むことはできなかったとか簡単に言ってしまうが、紛争の処理とは当事国二国間の合意があってもうまく行かず、各々の国内情勢は勿論のこと、仲介と国益を御旗に介入してくる列強各国の思惑が強く反映してすんなりとはいかないものだと痛感。二段組300頁超で内容も濃い大作。結局、どちらに非があったとしても他国の領土に踏み入った方が社会的敗北というのが戦争。

2022/04/12

BECHA☆

1931年上海。商社勤務の父を持つスミは幼い頃より日中双方で暮らし、自然と両方の言葉を身に付け、成人した今は共同租界の語学教室で教師として働いていた。日本人と中国人の対立が激化し始め、教室帰りの生徒を送り届ける途中暴徒と遭遇してしまったスミ達は九死に一生を得る。それでも上海に残る決意をしたスミは、仕事を続けるうちに内密の和平交渉団の一員としてスカウトされる。 流石に歴史オンチの私でもこの交渉が成立しているはずはないと判っていて、それでも頁をめくる手が止まらなかった。和平交渉の乱立が却って中国側の不審を招き

2021/03/14

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