そのひと皿にめぐりあうとき
そのひと皿にめぐりあうとき / 感想・レビュー
モルク
大戦後家族も何もかも失い浮浪児として生きる滋、そして現代このコロナ渦を生きる高校生駿、このふたりの話が交互に進んでいく。浮浪児の保護という名の監禁状態から逃亡し闇市で生きるようになる滋。負から立ち上がり、小さな社会での結び付き。みんなが貧しかった時代を波瀾万丈に乗りこえたまわりの人々のなんと魅力的なことか。一方高校生の駿はコロナによって父の失業、自らの罹患、両親の不仲…と最悪の状況に向かう。生活様式が一変した現在、再読の時は懐かしく思えるのかな。2つの話が最後の最後で繋がる。素敵な結末で、ほっとした。
2021/10/23
ゆみねこ
戦争で家族も住まいも失い浮浪児になった里見滋、コロナ禍の今を生きる高校生の洲崎駿。交互に物語が進みラストで明かされたこと。戦後の過酷な時代が綴られる滋の章は魅力的な登場人物が多く読み応えがあり。駿も今の時代を如実に表しとても興味深く読了。良い本を読みました。お薦めです。
2021/09/26
Ikutan
福澤さん初読み。読友さんの感想で読んでみたのですが、とてもよかった。戦後すぐの過酷な状況の中、逞しく生きる戦災孤児である滋と、令和の今、コロナ禍によって暗転した生活から、希望を見出だそうとする駿。17歳の二人を主人公に交互に進む二つの物語。大人でさえ、生きるのが大変だった戦後の焼け野原の東京で、飢えや寒さで苦しみながらも必死に生きる滋の姿は、胸に迫り目が離せず。彼を支える面々も魅力的。一方、コロナ禍の物語は、現状とリンクしていてめちゃリアル。残りページ僅かで、二つの物語が繋がる構成もお見事です。おすすめ。
2021/10/20
yukision
図書館のお勧めコーナーで。終戦直後の焼け野原,コロナ禍の現代,それぞれの東京に住む10代の少年の成長が交互に描かれる。焼け出されて何もかも失った滋と,恵まれた環境で生活する普通の高校生駿とは比ぶべくもないが,それでも,それぞれの環境の中で苦しんだとき,一歩踏み出すことで力を貸してくれる人が出てくる。読んでよかった。
2021/11/06
ゆのん
物語は2人の17歳の少年によって語られる。1人はコロナ禍の東京に住む高校生。1人は終戦直後の東京で過酷な中を生き抜いている浮浪児。終戦直後の日本の状況は読んでいて辛くなる程。家族を失い、家を失いただただ食べ物の事ばかり考える様な惨状。一方、現在の東京に住む少年は豊富にある食べ物を粗末にする様な生活。そんな生活もコロナの蔓延で一変する。危機的状況において何が本当に大切なのかを教えられた。当たり前のものなんて一つもない。自分の周りの人に小さくてもいい、親切の出来る人でありたいと思う。
2021/05/25
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