無年金者ちとせの告白
無年金者ちとせの告白 / 感想・レビュー
モルク
坂田PAで清掃員として働く73才のちとせ。年金も医療保険もなく生活するためにはただ働き続けるしかない。身体の不調や不安を抱えながらも40代の引きこもりの息子をかかえる同僚の友人栄と語ることが楽しみ。そんなPAには生活困窮の母兄妹、痴呆の母障害のある姉を抱えた男など車上生活者が集まる。そしてちとせのもとに元夫の知人が現れる。胡散臭い、栄は見抜くがちとせは彼と離れられない。溶かし屋…そんなことできるのか。そして新たな展開へ。福祉の狭間で生きる忘れられがちな人々。軽快な文章の中に様々な問題が見え隠れする。
2022/10/14
machi☺︎︎゛
70歳を超えての清掃業は正直身体がキツい。だけど生きていくにはたとえわずかの収入でも働かない事には。そんな人たちが集まる職場、パーキングエリア。そうやって毎日必死に生きているちとせに降りかかる災難。確かにすごく重たいテーマなんだけどあまりにも現実離れした事件が次々と起こり物語として俯瞰して読んだ。まるで桐野夏生さんのOUTのような衝撃的な展開。
2023/11/07
そら
タイトルとほの暗く描かれた二人の老人の装丁画。もう絶対に不幸なストーリーに間違いないじゃないか。坂田PAで働く73歳のちとせは年金もなく、わずかな貯金と安い時給で食い繋いでいる。職場ではリストラ寸前、同僚の栄が唯一の心の友。このPAには、車中生活者、ネグレクトを受ける幼い兄弟、介護者を抱え困窮した男性など、社会的弱者もてんこもりに集まる。ある日ちひろの元にある男性が転がり込んだことから厄介事に巻き込まれていく。予想通りのバッドエンドなのか?どんでん返しのハッピーエンド?気になって一気読み。罪は溶けるのね…
2022/08/18
ma-bo
年金が貰えないので73歳で高速PAで清掃員として働く女性が主人公。PAで、そして主人公の周りで様々な問題や、事件が起こる。 貧困車上生活者、介護問題、児童売春。上手くまとめてるとは思うものの詰め込みすぎ感があり。死体を「溶かす」って桐野夏生さんのOUTを彷彿させる。
2022/09/01
ナミのママ
受賞の一作目よりずっと読みやすく感じるのは主人公とテーマが身近になったからかな。パーキングエリアで働く73歳のちとせと75歳の栄。どちらも小遣いのためのパートではなく時給898円は生活費になる。そしてタイトルどおりの無年金。この年齢ならバブルを経験しているだろうに生活は苦しい。職場の開放された駐車場にやってくる車上生活者たちもいわくつき。それにしてもよく死人が出る小説だった。たくましいと言おうか、開き直りととろうか悩む登場人物。日本の警察はそんなに甘くないぞ!と思いつつなんとなく納得の結末だった。
2022/07/31
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