乱鴉の空
乱鴉の空 / 感想・レビュー
いつでも母さん
最終6章・夜鳥になるまで信次郎は登場しない。なのに全編を通して居ない訳がないと感じるのだ。清之介と伊佐治の会話は穏やかに、流れる様に情を感じつつ進む。そこに信次郎が加わるだけで研ぎ澄まされた刃のような、又は荊棘の迷路から抜け出せないような‥心拍数が上がる感じ。これぞ弥勒シリーズの醍醐味だ。この三人の絡みが好きなのは私だけじゃないはず。だが、もうそろそろと願う私と、永遠に続けと願う私がせめぎ合ってる。「木暮様」、「遠野屋」と互いに呼び合う声が頭から離れない(笑)シリーズ第11弾だった。
2022/09/21
KAZOO
今回でもう11冊目となっているのですね。いつもは文庫本で読むのですが、待ちきれなくて図書館で借りてきました。最初から不穏な感じで、主人公の一人の木暮が姿を消し、その手下の親分も捕まってしまいますが遠野屋の力で帰ってきます。ところが木暮が最後の方まで姿を見せないので作者も工夫をかなりしたのでしょう。遠野屋の故郷から手妻師兼隠密のような人物が加わります。結局ある大名と幕閣の貨幣をめぐる権力闘争の一端に巻き込まれたような感じです。悪役の剣豪があっけなく倒されてしまうのも若干不満が・・・。
2023/08/03
初美マリン
前半は木暮の失踪でなかなか読み応えがあった。解決は少し呆気ない気がしたが、このシリーズは本当に面白い
2023/03/22
タイ子
同心・小暮信次郎と商人・遠野屋清之介。その信次郎が突然姿を消した。そして、岡っ引きの伊佐治が大番屋に引かれる。清之介の伝手で何とか伊佐治を解き放つことはできたが、何が起きているのか。信次郎が当分登場しないので、今作は伊佐治の本音が描かれることで、日頃の鬱積の中でも信次郎に対する信頼は強いんだなと思わせてくれる。終盤でそれが描かれるくだりはジーンとなる。様々な謎は伏線回収と共に明かされるわけだが、終盤のバタバタ感は否めない。いつものヒリヒリ感をもう少し味わいたかったな。でも、この作品は好きだわ。
2022/09/15
タツ フカガワ
定町廻り同心木暮信次郎の組長屋に町方の役人が踏み込んだころ、岡っ引の伊佐治が大番屋に引っ張られる、という緊張感あふれる幕開けでしたが、ここから物語がなかなか動かない。信次郎不在のため、楽しみにしていた伊佐治のツッコミもないまま会話劇がつづく。終盤に騒動の真相は明らかになるものの、盛り上がりに欠けるシリーズ11作目でした。残念。
2022/10/24
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