答えは市役所3階に 2020心の相談室
答えは市役所3階に 2020心の相談室 / 感想・レビュー
パトラッシュ
新型コロナで行動制限が一番厳しかった2020年は、常識が覆され人生が狂ってしまった人も多かった。そんなコロナに傷ついた人びとが吐露した不安や苛立ちを聞いた市役所の心理カウンセラーが、そこに含まれる矛盾や嘘を見抜く「ココロの推理」がテーマとなる。『黒後家蜘蛛の会』の設定を相談者の生活や苦しみを叙述トリックを交えて描くことでマイナー調にアレンジし、安楽椅子探偵物と組み合わされたコージーミステリが成立するかを試しているようだ。そのつもりで読めば巧みな連作だが、話が小粒すぎると不満に感じる向きがあるかもしれない。
2023/04/19
starbro
辻堂 ゆめ、5作目です。2020心の相談室連作短編集、人は市役所の窓口でも嘘をついたり、盛ったりするものでしょうか❓ https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334915056
2023/03/08
さてさて
『新型コロナウイルス感染症流行の状況を受け、このたび市役所三階に、「2020こころの相談室」を開設することになりました』。そんな『市民のみなさま』に向けたお知らせの先に開設された『こころの相談室』を訪れる五人の主人公たちの悩み苦しみが描かれるこの作品。そこには、辻堂さんならではの一工夫が光る物語の姿がありました。コロナ禍初期の世の中の様子が落とし込まれたこの作品。そんな世の中に数多の悩み苦しみがあったことを改めて思うこの作品。『こころの相談室』の役割をミステリー小説として上手く用いた素晴らしい作品でした。
2024/10/06
松本ぼんぼん
最近流行りの青山美智子さん風の短編が繋がるパターン。本作は一味違っていて、臨床心理士の晴川さんの謎解きが冴え渡っています。読後、とても心地よかったです。十分に続編が期待できそうです。
2023/03/13
Karl Heintz Schneider
心に悩みを抱える5人の男女がここを訪れ、心の澱をぶちまけて、日常に帰ってゆく。相談員のあかりさんと正木さんのキャラがいい。こんな人が実際にいたら相談したくなるかも。青山美智子さんや垣谷美雨さんの似たような小説では主人公は来訪者の悩みにズバッと答えるが、本書の主人公は相手の話を否定せずに傾聴する。ひたすら相手に寄り添うことに徹している。そして各章の後の幕間では、あかりさんが正木さんに対して謎を解き明かすというミステリー的な要素があり、相談モノとしては変わった趣向となっている。
2023/06/22
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