贈る物語 TERROR
贈る物語 TERROR / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
多くの作品が既読。「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」は浅倉久志氏の翻訳なので懐かしくなる。ファン・ドールンがどうしてもあの画家に重なってしまう。開かれた未来と人並みの幸せを捨ててまで彼の絵に執着していく若者の描写が次第に狂気じみていくのが悍ましい。どうしてもクトゥルフ的なのか、ゴシックホラーなのか、ジャンル分けできない真相も怖さを引き立たせる。「獲物」は明らかに叔父さんが悪いでしょ・・・。一方で「デトロイトにゆかりのない車」は死神をタコ殴りにするアーサーさんの妻への愛にじんわり。そして死神さん、優しいね~。
2017/08/12
リッツ
「淋しい場所」目当てで図書館検索したらこれが。宮部みゆき編!それなら面白かろ~と借りました。有名な短編ばかりらしい、通なら。私も結構好きだけどそこまでじゃないようで既読は超有名な「猿の手」と「くじ」のみ。なので各章の始まりに語ってくれる宮部さん、語りすぎ!(笑)知らない者にとってはネタワレじゃないですか~!ということでその章読み終わってから戻って解説読みました。全て既読の方は宮部さんと共読の楽しみを持ってから物語を味わえると思います。私は自分の怖い好き、食指惹かれるものにかなり偏りがあるなという発見が。
2019/05/14
紫伊
宮部みゆき選のホラーアンソロジー。古典から現代もの、幽霊から心理ものまでいろいろなジャンルの短編で面白かったです。(グロさはなかったです)特にお気に入りは3作。デイビットマレル「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」とある天才画家の人生を追っていくと見える狂気に一番ぞくぞくする。Wデラメア「なぞ」恐ろしいことが起こっているはずなのに誰も突っ込まない、短いのにとても不思議で印象的。フィリップKディック「変種第二号」人間とロボットの境界はどんどん曖昧になっていくのでしょう。
2018/10/12
みさどん
宮部みゆきさんが解説をされている部分がとても面白くて、それからその作品を読むと、読み方を教えてもらった感じでした。作者の作品傾向や落ちのとらえ方なども教えてもらった気がして得した気分です。有名な「猿の手」、これは以前原著に挑戦し、その後訳書を読み、とっても怖かったのを覚えています。再読すると怖さよりもうまさが感じられて、それは表現の方をみてしまったからだろうと思います。同業者である作家さん方はそんな読み方をして、時には読み物として純粋に楽しめないという弊害があるかもしれないと、そんなことも思いました。
2016/03/13
三平
宮部みゆきが選ぶとっておきの怖い話アンソロジー。 奇をてらわず、名高い『猿の手』など間違いない面白さの物語ばかり。まさにアンソロジー・オブ・アンソロジーと言えるものになっている。 背筋が寒くなるもの、クスッとするものなどどれも一味違った恐怖のフルコース。 その中でも一番印象に残ったのは『くじ』(シャーリイ ・ジャクスン)。ハレの日の景色に仕掛けられた毒にギョッとし、思わず読み返したくなる。再読すると更に毒の恐ろしさが見えてくる。 本を読む愉しみが充分に味わえる一冊、
2018/01/17
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