密室キングダム
密室キングダム / 感想・レビュー
雪紫
昭和63年、復活するはずだった奇術師が三重密室で命を落とす。だがこれは関係者達を襲う5つの密室のはじまりに過ぎない。密室。解決。ダミー。誘導。密室。持ち歩けない重さの本に込められた続きざまの密室と解決同様犯人を見付けなければ、捜査陣同様翻弄され、囚われてしまう。密室の答えは早いし、犯人も納得出来る厚みがある。個人的には第4の密室が好み。この物語が昭和の犯罪と言われ、納得したものの(連想したのは二階堂蘭子シリーズ)、だがしかし求めるものらがいる限り昭和から紡がれた幻想は終わらない。例え令和になろうとも。
2024/01/24
勇波
なんと今年に入って読んだのはまだこの一冊だけ。。予想以上に時間がかかったな。ここまで『密室』に対して真面目に取り組んだ作者に拍手を送りたい。次々に襲いかかってくる密室に心が折れそうになりながらも、最後まで読ませるのは作者の力量か。噂に違わぬこの作品に満足しながらも、も少し遊びの部分も欲しかった。けどこれ以上長くなってもね★
2018/02/25
hanchyan@だから お早うの朝はくる
会話中に突然「いや待てよ」とか言って黙り込み沈思する学究肌の人とサシで飲みに行ったような。話の進行そっちのけで、鍵の形状やら施錠状態やらの描写や仮説とその否定の議論が延々と続くのに付き合ってると、そんな感覚を抱く。長~い(笑)黙考ののちに真相が明らかにされた瞬間から堰を切ったように“物語”は“語り”始めて轟々と雪崩れてゆく。5つの密室が生まれる端から解明されるのは、そこまでが“学究肌の沈思”であったことの証左ではないか。で、肝心の“語り”はなかなかにドラマチックでさすがにカタルシスも大きかった。↓
2016/01/07
烟々羅
柄刀一といえば、最新の科学をガジェットにしていて。理系アレルギのひとに勧めたら「舞台となる科学が謎だから、物語の謎を楽しめなかった」と突き返されそう。そんな印象が強いが、この作品は違う。 ミステリではなく探偵小説を読みたい人のために、ガジェット・けれん・衒いを捨てて真っ向から取り組んだ「大邸宅を舞台とした、手品の幻想に彩られた連続密室殺人事件」。二階堂、芦辺よりもさらに王道の昭和趣味を愉しんでいただけます。
2012/04/10
イシグロ
ハードカバー900ページ超は、見た目からして圧が強め。 しかし、読むのにえらく時間がかかってしまったのは単に分量の問題ではなく、まあ要するに、話にうまくのれなかったからです。 いや、ミステリとしてよくできているのはわかります。 横溢する古典趣味も好ましい。 ただ、ページをめくらずにおれないような推進力や、キャラクターの魅力を感じることができないままの長距離完走でした。 この作者は初読なので、他の作品はわかりませんが、三人称の地の文で登場人物の感情を説明してしまうところと、感傷過多なところは苦手かも…。
2019/01/22
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