烏金
烏金 / 感想・レビュー
ふじさん
借りた金をその日のうちに返す日銭貸しの烏金を生業にするお吟の店に、飛び込んだ浅吉は、その手腕を発揮し、店に貢献すると共に、借金で苦しむ人々を様々な手立てで自立の道を切り開いてやる。謎の多い浅吉、頭がよく回りからも一目置かれる存在で、いい条件の誘いもあるが、頑なにお吟の店で働く。途中大きな事件に巻き込まれ、窮地に陥るが、多くの人々の支えで難を逃れる。浅吉がこれほどまでに何故お吟に固執するのか?浅吉とお吟の関係が明らかとなり、謎が解ける。浅吉の生き様がいい。最後は、それぞれの道を歩むことになる。いい話だった。
2023/08/01
エンブレムT
さて、お立会い!ここに取りいだしたる本は、ちょいと変わった時代物!金の亡者の物語。花のお江戸の金貸し婆・お吟の元に転がり込むは、偽善爽やか訳有り男!名を浅吉と申す者、善か悪かは不明なれど、鮮やかなりし手妻を使い、借り方の負い目を暮らしの張りに転じせし、ここに因業金貸しは、晴れて人情長屋に早変わり~!泣きを見るのは何時の世も、カラクリわからぬ弱者ばかり。世知辛き世を嘆くよりは、笑い飛ばせる強さを求む!『烏金』なる物語、時代物と烏の株を急上昇させる心地良さアリ!嘘も方便、ハッタリ上等、心に真さえあれば良し!!
2010/09/24
のんき
金貸し業お吟のもとで、浅吉が仕事を手伝うことに。浅吉の思いつきやひらめきはすごいなって思いました。ただ金を取立てるだけでなく、取立てのついでに、相談に乗ってあげました。暮らしの切り詰め方や、商いの工夫を教えたり、借金というものが、負い目から暮らしの張りになるように仕向けます。盗みを繰り返す、物乞いの子どもたちにお金を貸すところが一番印象に残りました。子どもたちがみんな、ほんとはいい子で、懸命に働いているところは感動しました。浅吉と関わる人たちの厚い人情にホロリとしました
2017/12/18
ゆみねこ
あぁ、面白かった!江戸の困窮する武家や町民、はたまた捨てられた子供たち。浅吉がなぜ因業金貸しのお吟のもとで働くのか、謎が明かされたときはちょっと切なくて。浅吉は江戸版のフィナンシャルプランナーの様だ。長谷部家との因縁もよく分かって「はむ・はたる」とのつながりがスッキリと脳内で片付きました。
2013/07/02
ぶんこ
続編を先に読んでいたので、子供達とお吟の関わりや、長谷部様との出会いも面白かったです。お吟への企みがありそうな浅吉が悪人に思えたのですが、勝平に劣らぬ優しくて気っ風の良い若者でした。読んでいくうちに(これってグラミン銀行の話とにている)と気付きました。その日暮らしの貧しい人をグループにして仕入れ代を貸し、売り上げから返済をさせる。勝平たちが子供だからといって差別をせずに、しっかり地に着いた働きを覚えさせる。知恵を働かせる素晴らしさを痛感しました。続編の続編も読みたいです。
2017/06/02
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