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はむ・はたる

はむ・はたる

はむ・はたる

作家
西條奈加
出版社
光文社
発売日
2009-08-20
ISBN
9784334926748
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はむ・はたる / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

三歳の子供がとんでもない方向へ投げる餌を必死でくちばしに受けとめ、烏なのにはっきり人語で「吉郎太、うまい、吉郎太」と声をかける兄ぃ。その息が静まるのを待って、おいらは柿の木に羽を下ろした。「勘左の兄ぃ、お久しぶりで。片目の親分の元でご一緒した、文公でやす。跡目を継いだ親分から甲州まで近況報告を命じられやして。浅吉さんが重傷の身で勝平、ハチをかき抱いて役人の暴力から守ったあの日から、はや二年以上の月日。あっしも参戦致しやしたが、浅吉さんを守るため、その背に飛び乗り、羽ばたいて威嚇する勘左兄ぃの姿は、今も→

2013/10/20

Shinji Hyodo

ファム・ファタール(仏:Femme fatale)は、男にとっての「運命の女」の意味。また、男を破滅させる魔性の女(悪女)のこと…だそうです。『烏金』の続編だとは存じなかった。そう言えば、烏金には烏を味方につけた悪ガキ達がいて、その子らに商売の道をつけてやった金貸の親子が居たっけな〜などと思い出しつつ。今作ではその子供達を主人公にしての短編連作なのだが、今一人タイトルに繋がる武士が登場する。西条さんの時代物も好きだなぁ。

2016/03/15

エンブレムT

「ただ生きて暮らしていくことは、こんなにも尊く難しい」『烏金』で金貸しお吟と縁ができた、勝平率いる孤児軍団の奮闘記です。語り手だった浅吉の代わりにへらりと笑う脱力系の若き侍を加え、江戸でおきた身近な事件が語られていきます。子供視点の時代物って新鮮ですねー。真っ直ぐな瞳が映し出す江戸の町は決して明るいだけの世界ではなかったけれど、やわらかく心に響いてくる感じでした。変えられない過去と向き合い葛藤しながらも、今近くにいる仲間との絆を強く感じられる。読んでいて前向きになれる物語でした。続編希望です!

2010/10/08

ドナルド@灯れ松明の火

烏金から1年。勝平を中心に15人の子供たちは稲荷ずしを売りながらちゃんと日を過ごしている。今回は江戸に戻ってきた絵の上手な「ふらふら侍」長谷部義正の弟、柾がからむ。子供たち目線での話の組み立て方と謎解きが新鮮だ。玄太の「あやめ長屋の長治」三治の「猫神さま」天平の「百両の壺」えぐい侍貸しとの対決、登美の「子持稲荷」では大店の一人っ子を立ち直らせ、伊根の「花童」では口のきけない花が実は賢かった。勝平の「はむ・はたる」柾がふらふら全国を巡っていた理由は仇討だった。→コメント続く

2012/03/20

kazu@十五夜読書会

江戸の下町深川六間堀町を舞台とした六編の連作時代小説。「烏金」の続編の設定のようです。江戸の下町でたくましく生きる十五人の孤児たちに、心に傷を負った若き侍長谷部家の冷や飯食いの次男坊・柾が手助けし、遭遇する事件を解決していく、柾の母が、勝平たち孤児の身元引受人で掏摸やかっぱらいで食いつなぐ暮らしをあらためさせ稲荷鮨売りなどまっとうな商売をさせる。《あやめ長屋の長治》《猫神さま》《百両の壺》《子持稲荷》《花童》《はむ・はたる》。柾の心の傷の解決編がクライマックス。孤児の思いやりと花のけなげさがツボ。

2013/06/24

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