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弦と響

弦と響

弦と響

作家
小池昌代
出版社
光文社
発売日
2011-02-19
ISBN
9784334927448
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弦と響 / 感想・レビュー

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naoっぴ

30年の歴史をもつ鹿間カルテットがとうとう最後のコンサートをむかえる。この四重奏団のメンバー、彼らと共に歩んだホールスタッフや観客らのこれまでの人生の断片が、美しいパッチワークのように並び構成された味わい深い小説だった。音楽とは。仲間とは。そして恋とは。彼らひとりひとりの人生を知り、様々な思いや人間模様が胸にじんわりと広がる。あわ立っていた客席の灯りが少しずつ暗くなり一瞬の静寂ののち、舞台に手のひらのような光が降りてくる。外は雪。そして彼らの最後の演奏がはじまる…。余韻ある素敵な作品だった。

2018/08/30

昼夜

五線譜に置かれた音譜は同じなのに演奏者、場所など色んな条件で驚くほど変わってしまう。それこそ音楽だと思うけれどその音楽の形は時代により変わってしまいクラシックは時代に置いてきぼりになってしまった。解散してしまうカルテットとクラシックが重なり諦めが心を覆ってきたとき響いてくる、変わってしまったのは音楽じゃなくて私たちの方だと。

2011/09/15

風眠

ずっと永遠に終わらないものなんて、ない。だから終わりはいつだって淋しい。人間もそう、生まれたら必ず死ぬ。年を取っていろんなことが衰える。物語の中に、こんな文章がある、「消えてしまうから、音楽はすばらしい。消えてしまうから、音楽は貴い」。消えてしまうからこそ、終わってしまうからこそ、情熱とか、執念とか、想い出とか、余韻とか、残り続けるものがある。ある地方都市の弦楽四重奏団のラストコンサートの一日を、家族、演奏者、観客、舞台関係者、音楽ライター等が語る。弾き切ろう、見届けよう、そんな気迫が押し寄せてくる物語。

2014/03/22

Tadashi_N

弦楽四重奏団と、それを囲む人たちに、愛憎も含んだドラマがあった。カザルスホールを思いだす。

2018/12/10

ロッキーのパパ

散文詩みたいな文体で、冒頭から不思議な感覚に包まれ、物語世界に引きずり込まれる。節ごとに視点が変わるけど不自然な広がりを見せず、カルテットのラストコンサートに向けて物語りは収束していく。コンサートが終わったホールの残響と外に降りしきる雪の静けさが調和し、カルテットと物語の終焉を描き出す。ただ、そこからは寂しさだけではなくほんのりとした暖かさが伝わってきた。

2011/10/31

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