ダンスホール (テーマ競作小説「死様」)
ダンスホール (テーマ競作小説「死様」) / 感想・レビュー
lonesome
「鳩の撃退法」のプロトタイプとして読んで、なるほどこの設定や登場人物はこれが原型でああいうふうに発展して膨らんでいくのかととても興味深く楽しんで読んだ。 そして、「いまにも飛び立とうとする鳥をなだめ、機嫌を整えてやるかのように、その動作を繰り返した」という一文にニヤリ。 「立ち上がると背の高い女だった」と大越よしえを表現する文章が二度出てくるところもクスッとなったし、謎が残る部分はそれとして余韻として一興。 競作テーマである「死様」は、この小説では「死様とは生き様」であると読んだ。
2018/01/06
スパイク
図書館で本を漁ってたら懐かしい名前が目について借りてきた。この作家、ストーリーがあってないような小説を書く。登場人物の心の動きもつかめないようなハードボイルドな文章が好きだ。エピソードは心を揺さぶられるようなハードな出来事なんだが登場人物達は煙草を吸いグラスを傾けただ話をするだけ。男と女が、老人と若者が、出逢い、別れる。そこでお話しはおしまいかと思っていたら、作者はこう続ける「そして人生はつづく。」小説に同化した主人公たちの心は揺さぶられてもいないように描かれているのに読まされた私たちの心は大きく揺れる。
2015/08/30
ブルームーン
「身の上話」がドラマも原作も面白かったので、読んでみたけど、どうしよう・・・全然意味がわからなかった。再読する気にもならない・・・。断片的にはわかるものの、どこでどう繋がっているのかが不明。
2014/01/29
八百
「もういいや!」と思っていても見つけてしまうとつい手にしてしまう…実に面倒臭い作家なのである。今回は光文社の「死様」をテーマにした競作小説という企画モノに乗っかった久々の新刊。持ち込まれた話に「渡りに舟」とばかり当面の競輪の軍資金稼ぎに適当に書いただろ!と思わせてしまうほどのファンには期待通りの仕上がり。なんとも言えないモヤモヤした読後感の向こうにバーのカウンターでハイライトの煙越しに見え隠れするあの飄々としたドヤ顔に地団駄を踏む「してやられた」感が佐藤正午の醍醐味なんでしょうね…まったく(笑)
2013/10/08
カワセミ440
久しぶりの佐藤正午。エッセイ以外は全部読んでいる筈。初めて読んだ『永遠の1/2』から、かれこれ30年かな。今回の話は結構難しいっていうか、意図的?に分かり辛く創ってる気がする。時系列もなんかおかしい?気がする。だめだ、もう一回読み返してみよう。佐藤さんは丁寧に、丁寧にお話を作っていく人だね。そういう意味では結構貴重な作家だと思う。どこまでが私小説なのかなんてわからないけど、佐藤さんの分身が『私』なのかな?今回のテーマは『死に様』だそうです。次の作品も楽しみです。(その前に、もう一回読み直そう)
2011/07/16
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