光
光 / 感想・レビュー
hiro
道尾さんの作品は、Story Sellerの『光の箱』しか読んだことがなかったが、この本が‘すずらん本屋堂’で紹介されていたので、すぐに図書館で予約した。小学校4年生の主人公の視点で、夏休み前から春休み前までを描いた連作短編集。それぞれの短編では、謎を解いたり、冒険をしたり、化石を盗もうとしたり、そして誘拐犯から脱出したりと、こんな濃い経験をした小学生はいないと思いながら、なぜか懐かしい気持ちになった。今度は『光の箱』や、この『光』のような明るい道尾作品ではなく、ダークな作品にも手を出してみたいと思う。
2012/08/14
そのぼん
少年たちの目線で描かれた何処かノスタルジックな感じの作品でした。一章ごとに話が分かれていて、連作短編集のような雰囲気でした。最初の川が赤く染まっていた理由を追う『夏の光』と、教頭先生から人魚の伝説を聞いたことから始まる『女恋湖の人魚』が印象的でした。
2013/01/11
ひめありす@灯れ松明の火
その道の上は、何時だって光に満ちていた。弾けて散る冬祭りの花火、犬歯むき出す老婆と野良犬の決闘、ぎらりと輝く人魚の鱗、隣で眠る女の子を照らす茶色の電灯、アンモナイトが吸い込んだ古代の陽射し、洞窟の中の炎が爆ぜて、真冬の蛍の放つ光はまるで花火の様で。時折落ちる暗い影さえ、夏休みの子供達には一時の安息の地だった。怒られて泣いたこと、涙の行く先はプリズムになって見えない。叶わなかった夢、虹を作っては手を伸ばすようで。だけど、あの日の光を知っているから、僕らは何度でも手を伸ばす。眩むような光。触れられない虹に向け
2012/12/30
財布にジャック
読み終えて本を閉じると同時に、溜息が漏れるような作品です。道尾さんお得意の少年達が主役の何だか懐かしくなるような素晴らしいお話でした。道尾流少年探偵団にインパクトの強いお婆さんと野良犬のワンダを足して、切なくしたような冒険譚に釘付けになり一気読みでした。個人的には、最近の道尾さんの書かれた物の中では一番心に響いて来ました。自分も幼い頃、洞窟探検をした記憶が蘇ったからだと思います。小学生の頃一緒に冒険をした今は亡き兄を思い出し涙してしまいました。
2012/10/07
sk4
少年リーたちの日常が大事件に発展する。 それらのエピソードが紡がれていく感じがロバート・R・マキャモンの『少年時代』を思い出させる。 かの名作では絶体絶命のピンチに見世物小屋の恐竜(ステゴサウルス?)が加勢してくれたが、この物語ではキュウリー夫人を導いてくれたくれたのは女恋湖のアレ。 『少年時代』でもそうだが、それら有形無形の超越的な存在を「ふん!ファンタジーね」として処理してしまうのは、【光】の護りを失った悲しい大人たちの言い訳だと思う。 だって子供の時に本当に見たんだからしょうがないじゃないかw
2013/02/17
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