象の墓場
象の墓場 / 感想・レビュー
utinopoti27
90年代以降、世界の産業構造を一変させてきたインターネット・デジタル革命。本作は、フィルム界の巨象・コダックが、こうしたイノベーションの大波に飲まれていく様を、克明に描く力作です。かってはコダックの社員だった作者の、細部へのこだわりは相当なもので、思わず引き込まれてしまいます。長年培ってきた収益モデルへの執着は、生き残りを賭けた変革を阻害し、エンドユーザーとの溝を深めるばかり・・。『諸行無常』。今後ますます熾烈を極めるであろう技術革新の流れは、一方で既存の価値観を破壊しながら、どこに行きつくのでしょうか。
2018/11/17
koba
★★★☆☆
2015/03/14
けい
一分のスキのないビジネスモデルを持っていると思われた優良大企業が、見る影もなく力を失って行く様を描き出す物語。楡さん作品は初読みだったが、面白く読ませてもらいました。本作で描かれる企業はコダックであるが、近年でも同様な憂き目に会っている優良大企業は多い様に思う。世の中の移り変わりをいち早く察知しながらも行動に移していく意義を見出せない。完成されすぎたビジネスモデルの恐ろしさをまざまざと見せつける物語でした。
2014/03/21
ゆみねこ
デジタルカメラの登場で一気に衰退した世界最大手のフィルムメーカーの終焉。わずか12年ほどの期間で世界の写真という概念が大きく覆ったのですね。とても興味深く読了出来ました。
2015/08/08
キムチ
分厚い一冊。淡々と変わって行く時代を「有能な社員」の視点で描いている。時代は1990~2000年初め。映像の世界がアナログからデジタルに変わって行く流動期。そして企業形態が大きくなって行くにつれ、宿命ともいえる「群モウ、象を撫でる」現象。有能であるほどに感じざるを得ない喪失感と虚無感。大きな事件が起きるわけでない時の流れが綴られているので退屈と云えない事もない。嫌でも女の視点で読むので私的な世界や業種以外の国内外事件は捨てられている・・ただ仕事だけ。だが楡さんの本は読みごたえがある。
2014/08/10
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