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彼女の家計簿

彼女の家計簿

彼女の家計簿

作家
原田ひ香
出版社
光文社
発売日
2014-01-18
ISBN
9784334929251
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彼女の家計簿 / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

原田ひ香さん5作品目にチャレンジでしたが、これまで読んだ作品の雰囲気や本作の装丁からいって勝手にほのぼの系のお話かと思っていたら、全然違っていて完全なある意味、ミステリーにも近い作風で驚かされました。4人の女性が時を超えて絡み合うクロニクルで、女性が働きながら子供を育てていく大変さがリアルに伝わる描写は圧巻でした。登場人物それぞれにどこか陰のあるキャラがまた魅力的で、ついつい気になり引き込まれてしまいます。シングルマザーの主人公「里里」があらゆる人物とかかわっていく中で変化していく様は微笑ましかったです。

2016/02/11

おくちゃん🍎柳緑花紅

あの家計簿をこちらに送っていただけないでしょうか。あれがたったひとつのよすが、過去をつなぐ道だからです。あれがないと過去と現在を通す道がなく、ただ虚空にふわふわ漂う存在になってしまうような気がするのです。彼女の家計簿は偶然という見せかけの必然で孫へ曾孫へと繋がっていった。それだけではない。周りの人と繋がる生き方をその意義を気付かせてくれた。原田ひ香さん。追いかけたい作家さんが又一人増えた。

2016/07/07

わか

ふんわりとした色使いの装丁ですが、中身はなかなか重く、考えさせられるお話でした。母親に愛されなかった里里はシングルマザーとして我が子を育てています。母親から愛情をもらえなくても、我が子を愛している里里にほっとしました。そんな時送られてきたのが祖母、加寿の家計簿。家計簿というより日記ですね。ほんとうに祖母は男と駆け落ちするような女性だったのか?家計簿を読んでいくと、戦争中に仕事と家事を一生懸命頑張る加寿にエールを送りたくなりました。戦争って男の人を変えてしまうんですね。。原田ひ香さん、注目の作家さんです。

2015/06/04

なゆ

突然送られてきた古い古い戦時中の家計簿。これを書いた加寿という女性は本当に祖母なのか?受け取ったのは未婚の母である里里。里里は母親朋子からの愛情を感じたことがなく、その訳が家計簿に隠されているかもと読み始める。家計簿を送ったNPO団体代表の晴美も暗い過去を抱えながら困っている女性達を支える活動をしている。ところどころに家計簿の記述がはさまれて、〝男と駆け落ちして心中した〟はずの祖母の真実を浮き上がらせていく。時代ごとの女性の生きにくさや、自立していくこと、仕事…。なかなか読みごたえありました、ひ香さん。

2014/05/21

Seiei Ikeda

人の苦しみは、いったい何処からやってくるのだろう。母との縁を断って娘を育てる里里。壮絶な過去を胸に秘め、困窮する女性を支援するNPO代表の晴美。縁のない二人の女性を結びつけたのは、里里の祖母が過酷な戦時下に記した家計簿。そこには、ひた向きに生きる人間の愛が綴られていた。添えられた祖母の純粋な思いが、断ち切られた人々の冷えて頑なな心を溶きほぐし絆を創ってゆく。彼女たちの清廉で繊細な思いやりに何度も、なんども心うたれ胸を熱くし涙した。物語の感動はいつまでも心を照らし、そして強く思う。美しい心で生きてゆきたい。

2016/02/25

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