冬天の昴
冬天の昴 / 感想・レビュー
いつでも母さん
前作に引き続き一気に読了する。今回は木暮様大活躍の回。そして、『女』の凄さ、怖さを見せつけられた回でもあった。この信次郎と清之介の何とも言えぬ絆とでも云おうか、互いに心に刃を隠しつつ(隠してはいないか・・)互いの存在を認め合うというね。この先の二人が気になって仕方ない。そして伊佐治親分の立ち位置が良い。出来れば遠い先、品川でお仙と二人日溜りでしっぽりと穏やかに暮らして欲しいものだ。その時清之介は・・?伊佐治は?嗚呼、気になるわぁ。
2016/02/20
greenish 🌿
武士と遊女の心中は、恋の縺れか、謀か…。死と生の狭間で人と人とが絡み合う。『弥勒』シリーズ5作目 ---凄惨な場、心の闇をも、花鳥風月の調べのように美しく艶やかに綴るあさのさんの作品の中で、闇に光る刀身のような同心・木暮の存在が、異質なまでに際立つ。商人・清之介が抗いながらもその闇に引き摺り込まれるのと同じく、読み手もまたその深みに嵌っていくのです。 標題<冬天の昴>とは、冬の宵に見える牡牛座の星団。青白く光を放つこの密集した星々が意味するところとは、いったい何であろうか。 男たちの行く末を見届けたい。
2016/09/29
あすなろ
現を受け止め生きていく。もう少し生きてみりゃいいさ。まごうことなきハードボイルドの台詞です。あさのあつこ氏の作品は初読であるが、語り口に驚いた。センテンスも短く紋切り調。シリーズ物の途中巻だからか、ややストーリーが分かりにくいが。機会あれば、江戸と品川宿が舞台のあさのハードボイルド、続けて読んでみたいです。途中から酔わされました。
2014/12/25
えむ
小暮信次郎は、お仙の夫の死と同心赤田の死の類似に疑いを持った。シリーズ五作目。四作目で清之介が自身の過去に決着をつけ、五作目はどのような話になるかと楽しみにしていました。四作目に出てきたお仙に絡む話。信次郎の眼目、推察が際立った。事件の真相はどこにあるのか? 緊迫感があり、ぞくぞくする展開に満足でした。私の信次郎のイメージは遠藤憲一(年齢は合わないけれど)。2014-97。437
2014/10/18
浅葱@
凍風、北颪、虎落笛、霜風、雪片、霙空、氷雨、雪嵐、冬天。目次の語は全て冬。信次郎の心の中は冬と思っていたら事件の様相が冬だった。心中。相対死。誰しも疑うことなく受け入れてしまった事件。同心、小暮信次郎は、何処からともない腐臭を嗅ぎ獲り、血腥い中で一筋の違和感の糸を掴む。事件だけを見据え、清之介と伊佐治を使いながら踏み込んでいく信次郎。その謎解きの仕方は感覚が先に立っているようで実は独特な理詰め。遠野屋が「旦那との手合わせは、危なくも怖くもあるが、面白さが勝つ」の言がぴったりしている。→
2014/09/09
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