我慢ならない女
我慢ならない女 / 感想・レビュー
里季
これも大変面白かった。叔母である作家ひろ江を応援し支え続ける明子。彼女は最初は頼りなさげだったがだんだん強くなっていく。ひろ江自身は紆余曲折はあったものの、その「男前」な性格と強さは普遍的であり、何度も胸がスカッとした。挿入されるひろ江の小説は、最後の方でパズルのピースがはまるように解明されてお見事!「奇術師としてしか生きられなかった父親の生き方を、あっぱれだったと思う娘の生き様」という小説の設定はそのままひろ江に当てはまり、感動した。そしてやはり「我慢ならない女」は最後まで出て来なかったのである!
2014/05/15
風眠
売れない小説家の女が感じ悪いのだけれど、この「スカッとした!」という、なんとも気分がいい読後感は何なのだろう。それは多分、私の中にも「我慢ならない感じの悪さ」があって、肝心なことは照れくさくて言えないみたいなところが似ているから。命懸けで小説を書いてそれが売れ始めると、自分が書きたいものと売れるものを書くという狭間で苦しむ小説家。それでも書くことをやめられない業というもの。それを支える姪の明子の献身もやはり業なのだと思う。作中に挟まれる主人公の自伝的小説も、業がテーマで、そこだけ取り出して読んでも面白い。
2014/06/01
nyanco
タイトルから『嫌な女』に近い作品だろうと思っていました。『女』シリーズで行くんだなぁ~と…、しかし予想を覆す作品。「小説を書く」という業に取り憑かれた女・ひろ江、編集者であろうが、実の姪であろうがグサリと暴言を吐く。小説を書くことが自分の人生の全て、心身を削るようにして書く、その姿に圧倒される。売れる作品=素晴らしい作品ではないくと、しかし出版社としては売れることが優先される。小説家として認められた後も、「売れる」ということに翻弄されるひろ江。ひろ江の側にいる姪・明子の視点で描かえる構成も面白い。続→
2014/08/28
barabara
飾り気のない女の魅力とは真逆の渇ききった作家志望の女性、それを人生を犠牲にして全力サポートする姪。あれだけ男を毛嫌いしていたような女が、作家として売れ始め、名声を目的に近づいてくる男を難なく受け入れてしまうのが違和感があった。初めて読んだ作家さんだが評判通り確かに読みやすい。女の嫌さは今作ではあまり伝わらなかったので、別の本も読んでみようと思う。完
2014/04/02
ゆみねこ
作家樺山ひろ江とそれを支える姪明子。ひろ江の作品が作中作として出てくるが、とても面白い。付き合い難くて扱いにくいこの作家と秘書役明子のコンビ、書きたいものを生み出す作家の苦しみ、売れるものを書かせたいと言う編集者の思い、読書好きとしては、作家さんの創作力に常に畏敬の念を持っているので、とても興味深く楽しい読書になりました。桂さん、すごい!
2014/09/26
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