絶叫
絶叫 / 感想・レビュー
Yunemo
一人の平凡な人生を送れるはずだった鈴木陽子。世の中の全ての不幸を背負うとこんな人生になるのですね。振り返って、どこかで断ち切れた場面があったんだろうか。自分の欲のままに、何かにすがって助かろうという想い。これがそのまま、転げ落ちていく。この過程をたどっても、やっぱり救われるところはない。こうした想いで読み進んでいたのですが、いつの間にか真のモンスターに変身していたんだ。結果として負の人生が逆転、あまりに凄まじ過ぎる生き方、この読み応えに満足感。でも何だか、という気持ちも残って読了。
2014/11/14
ミカママ
【KU】順番から言えば『blue』の前だったようだ。『blue』でも活躍した女性刑事・奥貫綾乃が主人公と言えば主人公。一見何の繋がりもないようなNPO主催者と、平凡な中年女性の別々の場所での殺人事件と孤独死。女性の方の生い立ちから遡り、物語は当時の日本の世相・社会問題を横糸に、意外な展開をみせて行く。彼らの人生が、点と点であちこちで繋がる妙味。ラストはもう、おおおぉぉと声が出てしまう。社会派ミステリの名作。
2024/05/29
barabara
堕ちる堕ちる…ここまで奈落の底に堕ちる女だと案外傍観に徹して冷静に読むことが出来る。NGOとの関わりが、余りに急ピッチすぎて呆然だったが、庇護下にいれる環境は暖かく一時的には安眠できる時間だったのだろう…関わりのスタートを思うと余りに哀れすぎるけど…。結局女って弱いというテーマが残った気がする。環境と運に恵まれ、尚且つ強かじゃない女は気が抜けない…
2014/11/18
reo
再読です。江戸川区鹿骨でNPO代表理事のメッタ刺し死体が発見される。それから半年後、身元不明の女性の遺体が、国分寺駅から徒歩10分足らずの住宅街の単身者向けマンションでペットの猫に食い荒らされ発見される。貧困ビジネスに生保の枕や自爆営業、風俗に風俗嬢狩り、性犯罪に最後は保険金殺人。ひとりの女性が堕ちていく生き様と、事件捜査との両面で構成されており、事件のピースを少しずつ埋め合わせていくような展開から眼が離せない。物語が進むにつれいやが上にも、緊張感が増してゆく。果たして、あなたは逃げ切れるか!お薦めです。
2016/09/09
nobby
これはもう多くの絶賛の声に納得の一冊。マンションの一室で10匹近くの猫に食い散らされた死体で発見された鈴木陽子。その壮絶な人生を「ー陽子、」から始まる自伝的パートと、事件を追う女刑事綾乃の調査模様を交互に描く様が絶妙。生活保護・生命保険・子供虐待など社会問題を次々と織り交ぜながらも、見事にプロローグの事件へと結びつく。ラストでの陽子の真実には何となく辿り着いていたが、語り手の正体には無理(笑)何にしても一気読み必至な傑作には違いない!
2016/04/30
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