絶対貧困
絶対貧困 / 感想・レビュー
みゃーこ
新潮文庫の100冊。常に多面的視点で物事を考える著者特有の貧困学講義。豊富な写真を使い「国際開発論という最大公約数的統計では語られない」現地で生きる生身の人間の個々の生活が抱える最小単位の貧困問題を研究したまさに生きたルポ。貧困学と名付けた著者の言うとおり貧困を身近な問題として考え行動するミクロ・マクロ双方向の視点で考え人々の利益を考える学問が開かれていかなければ他人事として見て見ぬふりしていると大変なことになると思った。
2013/07/27
新地学@児童書病発動中
1日に1ドル以下で暮らす人々の生活をリポートした本。両親が殺され、シンナー中毒に陥り骨と皮だけになって路上に横たわっていたバート君のエピソードが一番印象に残る。救いようのない話ばかりなのだが、著者の語り口は淡々として明るさえ感じる。その明るさは著者が取材で出会った人々からもらった贈りもののような気がした。前向きとかプラス思考とかそんな生易しい言葉を突き抜けた崖っぷちの明るさで、それは先進国で物質文明の豊かさを享受している者の心を激しく揺さぶる。
2013/11/11
あやの
中高生に向けて講義形式で書かれているのでとても解りやすい。が、内容は世界の「絶対貧困」の現実をしっかり書いているので青少年にはちょっとキツいか。私としては特に「レンタルチャイルド」に衝撃を受けた。こういう世界ではやはり子供と女性が一番の被害者かと思う。貧困の陰に闇組織がはびこり、ビジネス化していくと女性や子供の「商品化」が進む構図も初めて理解できたかも。世界中のスラム街を取材するだけでなく生活してみた石井さんの体験談がベースになっているためか、他の解説書などとはリアリティーがひと味違う。
2020/08/14
nonpono
初めてインドを旅したときに初めて覚えたインドの言葉は、「バクシーシ」だった。物乞い達の勢いの凄まじさとまっすぐな眼差しに怯んだ。本書は世界のスラムや物乞いや売春婦のルポタージュ。上から目線ではなく、実際にスラムで生活をしたりスラムの人々と飲んだり食べたり恋をしたりの生活感溢れ出るルポタージュである。むごすぎる話もあるが、著者の撮影した写真の一枚一枚が現実を物語る。レンタルチャイルドと老婆、物乞いと雇い主の共依存、AIDSに対する無頓着さ、娼婦の堕胎費用の高額さ、ある意味、物語を凌駕する現実がここにあった。
2024/06/25
黒頭巾ちゃん
価値観そして視野を拡げたい方は必読です!彼らには彼らの価値観やそうしなければならない理由があり、一概に否定できません。例えば、医者に見放された貧困者が、偽物の薬屋から薬を買いました。それを何でも治らず亡くなる前に薬屋だけが貧困者の手を握り安らぎを与えます。死ぬ間際に医者と薬屋のどちらに感謝しますか?路上生活者には警察は乱暴されるので関わらないので強姦などは増えます。貧困国では売春は1大産業となり見てみぬふりになります!厳しい内容でも文章力によって何とか読めますが、画像は目を覆いたくなります。特に物乞いは。
2013/10/14
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