それでも世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義3
それでも世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義3 / 感想・レビュー
tom
登場した辻原登は「普通の人は、普通に生きていて、特別の経験なんて滅多にしない。でも、「世界文学」には、すごい広がりがあって、普通では経験できないことを経験できる。これを楽しまないのは、もったいない。」と語る。この言葉で連想したのは、読友さんが、「ミステリーの喜びは、世界旅行の喜び」と語ったこと。世界旅行も楽しいけれど、ミステリーの中では、殺人鬼にも刑事にも、女にも変態にもなれる。いろいろに変身して遊んでます。単なるミステリー好きも高級学者さんも、根っこでは同じじゃないかと笑ってしまったわけでした。
2021/10/02
風に吹かれて
小説家・詩人編で、加賀乙彦、谷川俊太郎・田原(でんげん:詩人・翻訳家)、辻原登、異言語の味編で、ロジャー・パルバース、アーサー・ビナードと対談。2015年刊。田原が中原中也はグローバルな普遍性がないから中国語に訳すと彼のポエムの質感がぐっと落ちる、日本語では「そこそこのいい詩人」だけど、というのに対して谷川が何故普遍性がなければならないのか特別な文化圏で成り立っていればいいじゃないか「そこそこのいい詩人」と評価するのは日本語が母語ではないからではないかと追及。➡
2019/06/20
mizuki
沼野充義さんとゲストたちが公開対談形式で文学について語るシリーズ本の第3弾。1と2を読んでいないですが、立ち読みで面白そうだったので、購入しました。海外の文学について面白いと語る加賀乙彦さんや、翻訳の違いがあることを教えてくれた辻原登さんが良かったです。紹介されていた本はどれも有名なものばかりでしたが、それぞれの思いが語られていて、より魅力的な文学に感じました。挑戦していきたいと思います‼︎
2015/07/14
きりぱい
面白かった。シリーズの中では一番ゲストが地味(失礼!)に思えたのに、中身はなんの面白い。ロシア文学に魅せられた読書体験の話からリアリズム長篇について語る加賀乙彦との話や、内容が普遍だから受け入れられるのか、微妙なニュアンスを伝える翻訳の困難を語る田原(中国)と谷川俊太郎の視点にちょっと温度差があるやりとり、パルバース氏やビナード氏など、日常の会話のあり方から宮沢賢治の詩の実態まで、日本の言語の掘り下げ方が面白い。あとがき、ウクライナ情勢の裏で勇気ある批判を見せる作家にアクーニンやウリツカヤがいたとは。
2015/05/18
aoneko
「はじめにー、」で、人間にとってお金よりも大事な文学、といわれてちょっと、かなり、じりじりと後退り。 まぁそれはおいておいて。ドストエフスキーは10代で読み終わっておかないといけなかったんだとか、え...?な話から、詩の翻訳は可能か?など。 小説も村上春樹は翻訳されやすいけれど、古井由吉さんは翻訳しにくいのだとか。辻原さんのいう「基本的にはどんな人もパスティーシュしている。小説だけではなくて、われわれの人生そのものが、パスティーシュ。」は、なるほどそうだなぁと、そこもまた印象深かったです。
2015/06/11
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