辻原登の「カラマーゾフ」新論 ドストエフスキー連続講義
辻原登の「カラマーゾフ」新論 ドストエフスキー連続講義 / 感想・レビュー
踊る猫
ドストエフスキーを「現在」の作家としてどう読むべきか。前半は『カラマーゾフの兄弟』の要約で終わってしまい、後半の亀山郁夫氏との対談は内輪の褒め殺しで終わっているようでかなり残念に思う。が、作家としての視点からしか語れない(「批評家」には出来ない)分析もあるのでそこが困った面白さでもある。そこで問いは最初に戻る。世紀を跨いでドストエフスキーを如何に読むべきか。そう考えてみると亀山氏との対談の内側に思考のヒントが隠されているように思う。その意味では結構難易度は高い書物なのかもしれない。トルストイを読んでみたい
2018/01/27
ころこ
まず、「カラマーゾフの兄弟」は読んだ方が良いです。光文社新古典文庫の亀山訳ならば案外スラっと読めます。訳の分からないところは、訳の分からないまま受け止める、それが文学です。何年か後、何十年か後に再読してみて下さい。本書はその亀山との対談が収録された、著者の思い入れ凝縮の解説本です。優れた小説はエンタメのようにストーリーでつなぐのではなく、場面の喚起力により読者の想像力を駆動する、著者はその様に言います。1章と2章は「カラマーゾフ」の要約ですが、登場人物のキャラクターを明確にし、彼らの人間関係を要約したもの
2017/05/04
天晴草紙
ドストエフスキーの巨峰小説に挑む時、それぞれの登坂コースからその人の能力で解釈を試みる。あらすじを読むとそれを書いた人が重視している所がよくわかるが、大作家辻原氏の場合は、場面描写は高く評価しているが、大審問官の部分に否定的で、学生の質問にまで否定発言をさせている。よほど気に入らないのだろう。さらに、イワンの哲学的議論や悲惨な子ども虐待例を挙げてこの世の悪を糾弾している部分には、全く触れられず関心がないようだ。それが辻原氏の否定”新論”らしいが、残念ながら原作の魅力の新解釈や再発見には至らなかったようだ。
2017/09/03
たっこ。
さすが。全4部のうちの前の2つがあの大長編の要約!ここだけでもかなり読む価値あり。読んでない人もガイドラインになるし、2回読んだ私も、あれ?そうだったか。と思うところがたくさんあってまた読み直したくなりました。3部の亀山対談、4部の名場面集と続くけど、やっぱり、前半2つが白眉だな。
2017/02/28
裕由
初読みの作家さんでしたが、講習集のような形で大変分かりやすかったです。あまりに有名なドストエフスキーを色々な見方で示してくれて、しっかりと読んでみたくなりました。大事なシーンでは必ず斜めの光が射すというのも衝撃的です。
2020/08/11
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