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ある死刑囚との対話 (叢書・死の文化 10)

ある死刑囚との対話 (叢書・死の文化 10)

ある死刑囚との対話 (叢書・死の文化 10)

作家
加賀乙彦
出版社
弘文堂
発売日
1990-03-01
ISBN
9784335950247
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ある死刑囚との対話 (叢書・死の文化 10) / 感想・レビュー

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gtn

バー・メッカ事件の主犯Sと著者の往復書簡。兄の母への虐待や戦後の価値観崩壊が影響し、刹那的に生きるしかなかったS。事件後も、殺人に対し反省不要とうそぶく。しかし、拘置所内で信仰に巡り合い、初めて罪の意識が芽生え、もだえ苦しむ。しかし、その後は体内から毒素を出し切ったがごとく、心の平安を得る。ひたすら内省した結果、その考察が著者を凌駕する。Sの処刑により、その対話が唐突に終わったことが惜しい。

2019/01/06

サトウ

全くの夜があるからこそ(ここでいう夜というのも、言葉では言い尽くせない夜だ)、全くの闇があるからこそ、そこから一条の光が見えてくるのだろうか。最後、死刑囚が文通相手に送った2通の手紙を読むと、死刑が眼の前に迫りながらも、そこには恐怖から解き放たれた、純粋な、すぐにでも空を明るく飛び回りそうな文章が現れる。本の中で、犯罪も救いも、どこか同じところから立ち現れているような、矛盾しながらも聖と闇が同じところにあるような、人間の内奥の深さについて述べられていたが、その問が私にも与えられたようだ。

2024/07/02

イカ

著者と死刑囚Aは愛と信頼に結ばれた友情関係を深めながら、死、信仰、神、犯罪とは何かを共に追究し続ける。系統立てて整理されていない生々しく重く深い一つ一つのことばに圧倒される。思想、文学、哲学のことばが立ち現れる現場に居合わせているような感覚をもたされる。 「凶悪犯罪を起こし、死を前にした人間でもこのような心になれる」というのでは全くなく、「凶悪犯罪を起こし、信仰を持ち、多くの人と友情を結び、母を愛し、死を前にした人間がこのように生きた」という圧倒的でユニークな一人の人生そのものを読者は感じることになる。

2019/02/16

桐一葉

どう感じればいいのか どう考えをまとめればいいかのか それを考えすぎて読むのが止まってしもた。人を殺すのはよくない、それを自分の死をもって償うのはよい。そういう仕組みで今成り立っている。単純な考えで、人を殺しておいて自分は信仰により心穏やかな日々を手に入れ過ごしている そんな死刑囚の立場はあまりにも身勝手ではないか、と。けど、全ての命は尊い。たとえ人を殺した命でも。考えが巡りすぎて、手紙のやりとりが入ってこーへんくなったので途中で終了。いつかまた読む日が来る。

2016/01/23

musis

正直、難しかった。哲学的に感じた。読み取ろうとしたけれど、自分の浅い意識では掴み取れなかった部分が多々ある。深く沈んだ意識のなかにいるんだなあという感想を持った最後、お母さんと美絵さんとの手紙を読んで、目が潤んでしまった。出す人によって文体が違う、のせる想いも違う、当たり前のことが、鮮明に浮かび上がって、死刑囚の、手紙を書いたその後をおもった。

2014/04/28

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