世界幻想文学大系 第14巻 万霊節の夜
世界幻想文学大系 第14巻 万霊節の夜 / 感想・レビュー
ワッピー
All Hallow's Eve Fantasy読書会。トールキンやルイスと並んでインクリングスの重要メンバーだったウィリアムズの神学ファンタジー。大戦終了後の荒廃したロンドンを舞台に、飛行機の墜落に巻き込まれて死んだレスターが橋の上から街を眺めわたすシーンからスタート。レスターの夫リチャード、その友人の画家ジョナサンとその恋人ベティ、ユダヤの秘儀を利用して世界を掌握せんとする牧師サイモンがおりなす万霊節の夜の出来事を描く。サイモンが幽体離脱をさせた実の娘ベティを未来に送り込んだり、死者をこの世に ⇒
2020/10/09
スターライト
第二次世界大戦のさなか、ドイツの爆撃によって死んだレスターが幽霊となって夫リチャードやその友人たちの前に現れる。それへジョナサンとベティの恋愛関係が交錯。さらにベティの母親ウォリングフォード夫人と彼女が信頼を寄せる牧師サイモンがその中に入り、怪しげな儀式が今まさに行われようとする…。現世とあの世の精神的交渉を、幽霊の視点から事態を追うという意欲的な試みが他の作品との違いを見せつける問題作。作者には他にも面白そうな作品もあるようだが(『天国の闘い』『多次元』『恍惚の影』)、未訳なのは残念。
2020/07/30
misui
世界支配を目論む魔術師をめぐって霊界と人間界の両界を跨いだ闘いが繰り広げられる。闘いといっても漫画のようなバトルはないのだが、作者の神秘思想に拠るところが多く、自分などは物語の行方よりそこに惹かれたし、本大系に収められているのもそのためであろう。現実のロンドンの裏側に存在する黄泉のロンドン、全ての都市、全ての時間を内に秘めた「神の都」ロンドンの特異なヴィジョンには眩惑させられた。死後の霊魂(特に悪霊)や魔術儀式の嫌なリアリティについても、作者チャールズ・ウィリアムズの本気っぷりが窺える。
2016/03/10
Susumu Kobayashi
レスターとイヴリンという女性が飛行機の落下事故で死亡し、幽霊となってロンドンをさまよう。レスターの夫の友人である画家ジョナサンを通じて、世界征服をたくらむ新興宗教を率いる師父サイモンとの関わりが生じる。レスターとイヴリンがサイモンが魔術で作った矮人に乗り移り、サイモンの娘ベティを救う。単純に読めばB級スリラーであるが、キリスト教の知識がないと著者の真意を読みとれないのではないかという不安が残った。
2012/10/05
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