世界幻想文学大系 第15巻 創造者
世界幻想文学大系 第15巻 創造者 / 感想・レビュー
スターライト
全集に加える新しい本を依頼されたボルヘスが「書斎をかき回し、寄せ集めたものを整理して」出版したのが本書だというが、ここに収められた作品はいずれも詩情あふれ物語性に富む内容となっていて、とても「寄せ集め」とは思えない。訳者解説によればタイトルの《創造者》とは《詩人》のことだそうだが、独特の世界を作り上げるボルヘスこそがあたかも「創造者」のごとく思える。印象に残るのはやはり「王宮の寓話」。詩人が招かれた王宮の叙述の幻想的で眩暈を覚える描写、刑吏をかぶった黄金の仮面、多彩な色の塔などわずか6ページに宇宙がある。
2020/08/12
eirianda
言葉によって眩惑的にインスパイアされたいとき、何度も手にして読み返したい。そんな韻文と散文の濃い寄せ集め。
2015/02/11
にとり
キリスト教(カトリック)やギリシア・ローマ以来のヨーロッパの神話的なものや南米の内戦や猥雑さなど、書き手のバックグラウンドが色濃く反映されていて、面白かったが読みにくくもあった。
2015/03/17
龍國竣/リュウゴク
「創造者」という題名は何を意味しているのだろう。それはこの散文集を作り上げたボルヘス本人ではないか。この作品の中に幾度となく「ボルヘス」という固有名詞が現れる。「ボルヘス」という一個人としてのわたしと、全能の「創造者」との間の葛藤のようなものが垣間見える。
2014/04/26
ふゆきち
岩波文庫で何度も読んだものの再読。こちらが底本なので内容はほぼ同じですが、世界幻想文学大系は装丁が素敵です。
2021/07/07
感想・レビューをもっと見る