世界幻想文学大系 第31巻 B 東方の旅 下
世界幻想文学大系 第31巻 B 東方の旅 下 / 感想・レビュー
スターライト
下巻には「ドルーズ族とマロ族」「ラマダンの夜」の二つの表題のもとに、オリエントの地をめぐる「私」の旅行記と「カリフ・ハーキムの物語」「朝の女王と精霊の王ソリマンの物語」が作中作として含まれる。旅行記としての部分は、上巻ではパリからの移動距離が長かったが、下巻ではレバノンやカイロなど地中海東岸地域での滞在に多くを割く。解説によればネルヴァルは早くに母を亡くし、作中に出てくる女性への思いは作者自身の気持ちが反映されているようだが、本書をネルヴァル版千夜一夜物語と読んでも差し支えないのではないか。再読したい書。
2021/04/11
刳森伸一
幻想というよりも眩惑的旅行記だと思う。有名な挿話「朝の女王と精霊の王ソリマンの物語」を含め、読み手をあっちへこっちへと連れまわしながら、現実の東方を旅しながら夢想的な旅へと読者を誘う。コミカルであると同時に真剣であり、その振れ幅にも酔わせられる。
2019/12/19
rinakko
再読となった「朝の女王と精霊の王ソリマンの物語」は、単独で読んでも好きな作品だったが、旅の間のどの時点に挿入されてくるのかを知らなかったので、ここでしたか…と唸った。まだ旅は終わっていないのに、ひたひたと寄せてくる余韻の気配に胸が甘苦しくなるような、そんなところに入っているのだもの。
2013/04/11
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