世界幻想文学大系 第42巻 B ヘリオーポリス 下
世界幻想文学大系 第42巻 B ヘリオーポリス 下 / 感想・レビュー
スターライト
太守の部下メッサー・グランデの暗殺、カルテルマリーノ攻撃を仕組んだルーチウス側だったが、ルーチウスが作戦中にブードゥルの伯父アントーニオを救出したことが双方の陣営が知ることとなり、ルーチウスは責任を取らされる。しかし、参謀長は軍学校に対する責務を解くにとどめ、ルーチウスはプロコンスルに除隊を申し出る。そしてルーチウスはヴィンターフェルトとともにヘリオーポリスを離れ、「新コロンブス」号でモーリタニアへ旅立つのだった。後半には「『ヘリオーポリス』拾遺」として5篇収録。様々な面を見せたまるで万華鏡のような作品。
2021/09/15
毒モナカジャンボ
ようやっと事件が起きた。とは言っても事実的・心理的いずれも大きな波があるわけではなく、正直不満が残る。思うに登場人物の心理があらかじめ各々の強固に確立した哲学によって支えられているためほとんど動揺が発生しないことがいまいち面白みに欠ける原因だと思う。とはいえ個々の文明的、美学的、政治的考察は面白い。旅する作家だったようだが、本領はエッセイにあったのではないかなと思う。軍隊的なもの(軍隊ではない)はロマンとの相性が難しいのかもしれない。1949年の著作に全体主義国家版スマホみたいなのが出てきて良かった。
2019/06/20
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