日本幻想文学集成 (7)
日本幻想文学集成 (7) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「瓜喰いの僧正」は肉食より、瓜などの身近な野菜に舌鼓を打つ僧正様が好きになっていたので悪魔の思惑通りにいかない結末に安堵しました。ところが「山桜」の転調ぶりに度肝を抜かれる事になる。物語はうだつの上がらない語り手は金を借りる為にかつて自分が想いを寄せていた女が嫁いだ家へ向かう事になる。そこで子供を自分との子だと夢想し、人妻にちょっかいを出し、亭主に追い出される。ここまでだとありがちな男の妄想譚込みの物語だ。しかし、ラストで明かされる事で転調して呆然となる。燈だと思っていたものの闇の深さにようやく、気づく。
2022/01/01
Sakie
石川淳初読。幻想小説選だが、超常現象というより、主人公の気の持ちようと迷うようなものが多い。冒頭の一文がなんとも人を惹きこむ。狐の豊年おどりの「二人権兵衛」、隣人の心底を窺いながら歌を応酬する「しぐれ歌仙」が好きだった。他の巻の顔ぶれをみると、この作家が幻想文学?と思う著名な名もあり、おもしろそうだ。石川直樹氏の祖父と知り驚く。
2015/06/28
そうび
最初期のものは妙に長い文体に苦戦したが、慣れればいける。後半は講談好きには慕わしい、けれどちょっと淫靡なもの。「無尽燈」「かくしごと」がお気に入り。池内紀氏の「毅然として美しく、魔術的でいかがわしい。」は見事な評。面白かった。
2020/03/11
ケンサン
これからと思うと終息?「瓜喰ひの僧正」僧正に忍び寄る悪魔/「山桜」わたしのみる幻影の京子/「ころび仙人」董生の渇望する紫の国/「鉄拐」鉄拐の太上老人/「しぐれ歌仙」亥吉と子之助の妻辰子/「無尽燈」呑気な主人公と浮気な弓子/「焼跡のイエス」主人公とイエス?こと少年と若い女/「曽呂利咄」頓智頓才の曽呂利と老翁/「かくしごと」キリシタン?五郎左の最期/「怪異石仏供養」山崎屋四郎右衛門と鳥石、切支丹?/「喜寿童女」童女、徳川家斉、伊藤博文の幾重の奇異/「二人権兵衛」権兵衛とゴンベ、狐の奸計?/「無明」討手の連続。
2022/08/12
感想・レビューをもっと見る