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日本幻想文学集成 (26) 円地文子―猫の草子

日本幻想文学集成 (26) 円地文子―猫の草子

日本幻想文学集成 (26) 円地文子―猫の草子

作家
円地文子
須永朝彦
出版社
国書刊行会
発売日
1994-07-01
ISBN
9784336032362
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日本幻想文学集成 (26) 円地文子―猫の草子 / 感想・レビュー

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がらくたどん

円地文子の『春の歌』を「吸血鬼枠」で掲載しているアンソロジーのご感想に惹かれて。円地文子と言ったら「源氏物語」と思い込んでいたが、「源氏」は晩年でお若い頃は「草双紙趣味」とかって言われるようなエンタメもあったではないか。本書8編、怪異ではなく艶めかしく虚ろな幻の世界。「猫の草子」が良い。お目当ての「春の歌」は幼く澄んだ狂った音律で唄われる「春が来た」の唱歌を怪しく配して、「魔」の気配に魅入られた若者を描く。「魔」を嫉妬と恐れで正しく「魔」と見抜きながら手をこまねくしかない女性たちの恐怖が伝わる。

2022/01/03

loanmeadime

八篇からなるアンソロジー。『二世の縁 拾遺』では「子宮がどきりと鳴った。」という記述に学生の私が心臓ともう一か所がどきりとしたのを思い出しました。丈夫振りと手弱女ぶりが同居していると言い、楽屋を持たない役者と譬え、今様紙魚の棲家から生まれたお化けと我が身と同類とする三島由紀夫の幽霊と書庫で対話する『冬の旅』では、上七軒の矍鑠たる老女や安曇川の冷たい水で大根を洗う妊娠中の農婦にその切り首になった生命を何げなく呑み込ませます。歌舞伎とかに詳しければもっと楽しめたろうに・・と言ってもしかたないか

2022/12/05

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