オーランドー 新装版
オーランドー 新装版 / 感想・レビュー
やいっち
「オーランド―」は、1928年に出版されたヴァージニア・ウルフの小説。当時はどういう時代だったか。物理学では、アインシュタインやハイゼンベルク、ディラックらによる、量子力学の勃興期だった。光の粒子と波との二重性がようやく量子力学で一定の決着を見た時代だったわけだ。
2021/06/03
♪みどりpiyopiyo♪
エリザベス一世寵愛の美少年、敏腕トルコ大使、ロンドン社交界きってのレディ、文学賞を受賞した詩人。16世紀から20世紀へ時を越え生き続けたオーランドー。って、つまりは何者? ■様々な人に出会い、恋し、傷つき、変化する時代精神を乗りこなし。その長い人生の物語の中に、英国の都市や自然の変遷、貴族階級と市井の人々、男女のあり方、英国文学史などを描きます。■時を超え詩を描き続けるオーランドーは、詩人が成長する過程そのものであり、英国の「詩」そのものなのでしょう。「理想の芸術家は両性具有者である」(1928年)(→続
2018/12/07
yumiha
まことにやかに肖像画(あるいは写真)まであるので、伝記小説だと思い込んで読み進めた。ちゃうんやん!いくらなんでも人は3世紀分を生きられぬし、少年が目覚めたら女性に変わる、なんてありえまっしぇん。その現実を疑問も葛藤もなく受け入れるオーランド。「内面の男性女性は流動的なもの」と言われれば、そうかも~と納得してしまう私。楽しめたのは、男性の目から見た女性ちゅうもんを、女性になって見つめ直すシニカルな視線。また、石油ランプの街灯の光30秒と闇10分間で詩人ポープ氏の評価が、コロコロ変わる箇所も楽しめた。
2019/10/02
loanmeadime
たまたまネットで見かけた、多部未華子さん、小芝風花さんの画像の可愛らしさに惹かれて原作を読んでみようと思いました。そうしたら、何じゃこりゃぁ、という作品で驚きました。毎度のことながら「灯台へ」だけ読んで、ヴァージニア・ウルフを知ったつもりの我が身が恥ずかしい。「隠し絵のロマンス」という素敵なタイトルの訳者解説もとても良かったです。オーランドーとシェルマーダインがお互いの本性を指摘し合うシーンがお気に入りです。
2021/10/29
nina
白洲正子がたしか『両性具有の美』でこの作品を紹介していたと思う。16世紀から20世紀へ、男性から女性へ、生きながら転生し、数百年の生を生きたオーランドーの冒険譚。詩作が趣味の見目麗しい世間知らずな青年貴族がさまざまな人に出会い、恋し、傷つき、いくつもの生と性を体験しながらオーランドーという人間の人格が形成されていくのだけど、あらすじの目まぐるしさや時代がかった大袈裟な言い回しのせいかスラップスティック・コメディのようなドタバタ感が全編を貫いており、感慨に浸る暇もなく気がつけば数百年も経っていたという感じ。
2015/01/13
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