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虚数 (文学の冒険シリーズ)

虚数 (文学の冒険シリーズ)

虚数 (文学の冒険シリーズ)

作家
スタニスワフ・レム
Stanislaw Lem
長谷見 一雄
西 成彦
沼野充義
出版社
国書刊行会
発売日
1998-02-01
ISBN
9784336035936
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虚数 (文学の冒険シリーズ) / 感想・レビュー

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tomo*tin

前半は実在しない書物の序文集で、後半の「GOLEM XIV」は人工知能が人間に行った講義録。なんかもう色んな意味で相当やばくてイっちゃってしまわれている。天才と何とかは紙一重というか、奇才と変態はお友達というか、あまりの凄さに脳味噌が爆発しそうになった。こんなの感想なんて書けねえよ。ときどき笑えるところもあるのだけれど、私には難しい部分も多くて終始眉間に皺を寄せて読んでいたので顔面が痛い。それでも面白かったと思えるのは内容のぶっ飛び方が素晴らしいからだと思う。で?これが70年代に初版?まじかよ!!

2009/08/18

マウリツィウス

スタニスワフ・レムの提示した完全な真空の連続体集合論はボルヘス連鎖を既に否定しておりカフカの軸をこの厳密定義に導入したことでジョイスとナボコフの連環不毛談話を見抜き尽くす。彼ら文学界を代表する権威を冒涜したSF象徴論がこの虚数であるがアンチ現実ヴィジョンを想起させることで暗幕として古典幻想を現代化された空間様式に投入、仮想建造物は奇書群から離脱することで古典古代の偽書説話を再現していく。何故ならこの典拠は全て着実な嘘であり真実を虚妄化した巧みな業、考案と卓越知はこの作家の領分、知性とは諧謔と皮肉と極論だ。

2013/05/23

不見木 叫

スタニスワフ・レム初読了。存在しない書物についての評論集。衒学的な文章で語られる文学論は文章によるヴァーチャルリアリティーといったところだろうか。「ギガメッシュ」や「性爆発」などは実在しないことを一瞬忘れてしまうほど興味を惹かれた。

2022/01/19

田氏

存在しない書物のレビュー集である『完全な真空』に続き、こちらは存在しない書物の序文集。だが、半分以上のページは大作『GOLEM XIV』に割かれており、オムニバスや短編集というよりは、この最終章にむかって書き進められた長編といった風情(そう考えると最初の『ネクロビア』が浮いているようにも見えるが)。人工知性体による講義として、「知性」を滔々と説くさまは、レム節炸裂といったところ。『ソラリス』にも通じるというか、それよりもさらに深く難解な超ハードSF。疲れる読書だけれど、脳から変な汁も出てくる。何だこれは。

2019/10/09

えか

秋のレム祭り第三弾。『ゴーレムXIV』のみ再読。とはいえ本文の3分の一(約100ページ)を占めるうえに、とにかく難渋な文章に苦労する。『新しい宇宙創造説』ではゲーム理論と組んでいた宇宙の沈黙が、進化論と合体。壮絶な知性生命体の話となる。ホントなんでこれを基にした信仰宗教が出来ないんだろ。J・グールドはヴォネガットの『ガラパゴスの箱舟』を産んだが、ドーキンスはこの傑作短編を産み出した。

2022/09/22

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