第二の銃声 世界探偵小説全集 2
第二の銃声 世界探偵小説全集 2 / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
シリル・ピンカートンはエリック・スコットーディヴィスを殺害する決心をしアリバイを作るために殺人ゲームを利用する事にした。計画は順調に進行したがホストのジョン・ヒルヤードがゲームの興趣を盛り上げるために散弾銃を発射するという予想外の事態が起きた。この一発のためにピンカートンの計画に狂いが生じ思いがけず自分が疑われる事になった。
2005/06/25
タカラ~ム
「A.D.ピーターズに」と題する献辞の中で書いているように、本書はバークリーによるミステリー小説への実験である。事件渦中の人物による語りで物語は進行し、事件発生に至るまでの登場人物たちの人間像や事件の背景が語られる。最重要容疑者となった語り手シリルは、助けを求めた探偵役のシェリンガムに対して「自分を無実を証明してほしいが、真犯人は見つけないでほしい」と要求する。結末に明かされる事件の真相も二転三転して読者を煙に巻く。被害者が相当なゲス男ゆえに容疑者シリルが皆に称賛されるのが面白い。
2020/05/12
ヨッシー
おぉぉ、確かにこれは傑作。とにかく最初の100ページ、事件発生までの人間関係が読ませます。そしてシリルが楽しすぎる&アーモレルが可愛すぎる……え、これキャラ萌え小説?と思いきや、やっぱり最後の展開は安定の(というか不安定な)バークリーでした。どうせシェリンガムだから、と構えてたら例によってでしたが、この真相は結構納得出来ます。そのタイミングだったのか、なるほどなるほど。少なくとも『ジャンピング・ジェニイ』よりはだいぶいいですね。現時点でのバークリーベスト3:『試行錯誤』『毒チョコ』、そして本書、かな。
2011/12/17
bapaksejahtera
田舎の地主の屋敷、少人数で開催のパーティーで評判の悪い社交家が殺される。この男に屈辱を受けた作家志望の男が真っ先に疑われる。男は弁明の為に本事件を題材とした小説冒頭を隠し置いていた、というスタート。1930年の時点で主流だった探偵小説の不自然さ(複雑な状況設定や殺害手段等)が現実の犯罪と遊離している事を指摘する点で面白いのだが、本作では最後の大団円の犯人特定があり皮肉が効いている。不自然なプロットも多いが、真田啓介の長部な解説は、初期の推理作家の大海に埋もれた作家を掬い出す本全集の趣旨に大いに叶っている。
2021/10/29
kyoko
ひねりが効きすぎて何が何だか・・・二転三転したあげくのエピローグの凄さは圧巻。しかしA・バークリーの路線は現代ミステリーに引き継がれているのか?謎解き・プロットとして。今のミステリーは社会背景や病理が外せないことを考えると、当時は純粋な推理小説の時代だったんだなと思う。本作、前半は陰鬱な雰囲気だったが、シェリンガムが登場すると小説の舞台は一瞬にして明るくなりとても楽しかった。
2021/09/21
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