花物語 中巻 新装版
花物語 中巻 新装版 / 感想・レビュー
まりお
全体通してもの悲しい話ばかりだった。叶えられぬ思い、通じなかった気持ち。最後にはこの世から消えていくしかなかった少女達。一瞬でも少女でいられた上巻とは異なり、叶わぬ思いに身を焦がしながら、舞台から消えることで永遠となった少女を描く中巻。好みとしては、上巻かな。
2017/12/03
橘
中巻も面白かったです。悲しい結末を迎えるお話が多くて切なくなりました。「燃ゆる花」がとても重くて、美しく残酷な結末だったのですが一番好きでした。「合歓の花」の大和田さんも好きです。この巻は、儚く美しい人とそうでない人の書き分けの差が激しいと感じたのですが、大和田さんは愛すべきキャラでした。下巻も楽しみです。
2018/09/30
kawatarian
吉屋信子が少女ジェノサイド機関へとゆっくりと変貌してゆく。上巻では物悲しくとも穏やかに暮らしていただけの少女たちが、中巻ではバッタバッタと作者吉屋信子に殺されていく。心中、病死、自殺…少女を永遠に囲っておくための介錯だろうか、時代背景から鑑みるに、それがいちばんの方法だったのだろう。それにしても思い切りがいい。上巻の、品のいい館ににて少女たちが心に留めた一輪の花を、仲間たちに打ち明かしてゆく、あの雰囲気はどこへ…。私のこの失われた物語を想う気持ちもまた、一つの花に結実して悲しい物語となるだろう。くやしい…
2012/08/27
まんゆう
全体的に悲しく切ない物語が多かったように思う。少女達の悲しい運命を抗えずに耐える弱々しさと芯の強さが見られるのは吉屋信子ならではですね。そしてそれらを描き出されると描写がいつ見ても美しい。今回は一風変わってライバルクラス同士の間に執り行なわれた絆を描く「秋海棠」が良かったな。また、ナイチンゲールのような少女の成長が見られる「ダーリヤ」と互いの罪悪感が結んだ「桜草」の物語も少女達の成長が見られて良かった。下巻も楽しみですね
2018/03/21
篁はいね
吉屋信子の少女小説短篇集。題名すべてに花の名を配していることもあってか、少女たちの芽生える感情の、愛に満たないざわめき、忍ぶ想いのひたひたという音が聞こえる。
2012/10/16
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