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幽霊船(魔法の本棚)

幽霊船(魔法の本棚)

幽霊船(魔法の本棚)

作家
リチャード・ミドルトン
Richard Middleton
南條竹則
出版社
国書刊行会
発売日
1997-05-01
ISBN
9784336038319
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幽霊船(魔法の本棚) / 感想・レビュー

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Kouro-hou

マニア向け叢書「魔法の本棚」の1冊。ミドルトン短篇集。最初に怪奇アンソロジーで読んだ「ブライトン街道で」の印象が強くて怪談系の人かと思いきや、どよーん系純文学というか私小説が多め。作者は若くしてクロロホルムを大量に飲んで亡くなったそうで、生き難かったんだろうなあとしみじみします。そんな中表題作の「幽霊船」は唯一コミカルでとても可愛らしい、楽しい作品であり、これが生前に売れていれば(友人は売り込み成功したが、その前に作者が死んでしまった。本人の営業力にも問題が?)作風も運命も変わっていたかもしれません。

2014/12/20

かりさ

何となく幻想怪奇な作風かなと思っていましたが、最初の「幽霊船」でおや?ちょっと違うぞ?と。なかなか愉快な物語にすっかり惹き込まれあれよと無我夢中で次々と読む読む。いや~大変満足な読書時間を過ごせました。幻想的で詩的な物語が大変魅力的で惜しむらくは作品を多く残さずに命を絶ってしまったこと。もう少し命の終わりを自ら選択することを待っていたら…これは考えても詮無い事だけれどやはり惜しい。「幽霊船」「ブライトン街道で」「棺桶屋」「奇術師」が殊更に素晴らしくお気に入り。「幽霊船」のような作品をもっと読みたかった。

2011/05/31

ぱせり

暗い背景の中に浮かび上がってくる宝石のような美しさの短編集でした。怖いというより滑稽味があります。可笑しいのだけれど、いろいろなものをあきらめていく悲しさや寂しさを含んでもいるようです。作者の不運な一生(巻末の小伝)を重ねてしまうから、余計にさびしく感じるのかもしれない。

2011/06/06

Bo-he-mian

ある日かぶ畑に幽霊船が落ちてきて、村に騒動が起こるような起こらないような…人を食ったというか、生者と死者が普通に共存していて、誰も幽霊なんて怖がっていない呑気な集落。農家のおかみさんが幽霊船の船長に農作業ができないじゃないかと文句を言ったり、とぼけていて猥雑で愉快なアイルランドの幻想譚。黄金を惜しむように言葉を惜しみ、異郷の地に斃れた「最後の世紀末作家」ミドルトン珠玉の短篇集。

2017/12/10

nightowl

大嵐の夜、かぶ畑に幽霊船が落ちてから生者と死者の入り乱れる町は大騒ぎという表題作がやっぱり作品としては一番。しかし、幻想ネタが尽き半私小説風になってからの方が筆が鋭くなっている様で愛おしさを覚える。堕ちた一族の末裔を描く「高貴の血脈」、理想だけが高いかなしみ「大芸術家」など…少年時代を思い起こす終盤の数作をもっと発展させればブラッドベリのルーツになり得たかもしれない。最初から最後までアマチュア感が良くも悪くも抜けないので、人を選ぶことは確か。

2015/12/31

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