カリブ諸島の手がかり 世界探偵小説全集 (15)
カリブ諸島の手がかり 世界探偵小説全集 (15) / 感想・レビュー
geshi
なんで探偵小説黄金期にこんな裏をいく作品を書けたのか不思議。当時の読者の偏見すら利用してポジオリ教授を異界で弄ぶミステリの諧謔。『カバイシアンの長官』ではボワロン長官の掌の上で踊っていただけで更に上の階層から丸ごと切り捨てられるオチのキレ。『アントゥンの指紋』『クリケット』は探偵活動を狂言回しにして笑いに昇華させてしまう。『ベナレスへの道』の超展開としか表現できない幕引きはアンチミステリの領域まで数段跳びで到達してしまった、とんでもない幻惑感と衝撃。
2020/03/18
雪紫
クラニーの蒼色館で紹介された彼自身の翻訳した短編集。「ベナレスへの道」は動機は半分は当たってたけど、最後の一文に衝撃。え、マジで?なんじゃそりゃー!そして解説にも別の意味で衝撃。良かったのは「クリケット」と「ベナレスへの道」。このポジオリ教授本当に名探偵か?とばかりに偉い目にあいすぎだよ・・・(クラニー、影響受けてるね絶対)。
2019/12/21
ごへいもち
なんともいえない変わった雰囲気のミステリー連作。カリブ諸島という場所なのか、人間の理性・知性を超えるものがあるような。人種差別的な表現も多い。最終作はちょっと「えっ!」という感じ。全体としては好みとは言えない
2011/12/11
本木英朗
アメリカの黄金時代本格ミステリ作家のひとりである、T・S・ストリンブズの短編集のひとつである。俺は2000年に2回続けて読んでいた。南米の元独裁者が亡命先のキュラソー島で食事中、ホテルの支配人が毒殺された。休暇で西インド諸島に滞在中のアメリカ人心理学者ポジオリ教授が解き明かす皮肉な真相「亡命者たち」から始まって、トリニダード島のヒンドゥー寺院で一夜を明かし、恐るべき超理論による犯罪に遭遇するポジオリ教授という「ベナレスへの道」まで、本当に超凄かったです、ハイ!!
2024/05/22
カーゾン
M:国書刊行会「世界探偵小説全集」中「赤い右手」「編集室の床に落ちた顔」と並ぶ三大奇書だと個人的に思う。 論理的な推理なんぞ殆どないけど、異国の風物とか宗教などが色々出て来て楽しく読めた。別にスパッと割り切れる解決が無くても、読者が作者と推理比べが出来なくても、世界中で数人でも面白いと評価する人が現れれば作者の勝ちだよ。
1997/07/01
感想・レビューをもっと見る