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須永朝彦小説全集

須永朝彦小説全集

須永朝彦小説全集

作家
須永朝彦
出版社
国書刊行会
発売日
1997-03-01
ISBN
9784336039095
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須永朝彦小説全集 / 感想・レビュー

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HANA

極稀に美が凝った玉としか思えないものに出会う事がある。本書もそんな幸福な出会いの一つで、東欧の吸血鬼、アンドロギュノスじみた天使、室町の御代の衆道、この世ならぬ家族といったこの世ならぬ美の数々が、著者にしか表現できない文体で磨き抜かれている。吸血鬼と天使は何度となく読み返したものであるが、その度にそれが内包する美しさにひたすら圧倒されるのみ。著者にしては珍しく家族という現実と地続きの題材「聖家族」にしても、家族というものがいつしか浮世離れし上天の輝きを帯びるのもまた素晴らしい。やはり至高の一冊であった。

2023/12/22

藤月はな(灯れ松明の火)

吸血鬼、天使、お伽噺、史実、和歌、衆道、妖などの要素が繋がっていき、耽美な世界観を見事に構築していました。清冽な文章で描かれた官能性と痛切な嘲笑と残酷な世界観に存在する美意識に陶然としてしまいました。その中で知っている言葉にニヤリとした江戸川乱歩氏、谷崎潤一郎氏、佐藤春夫氏と箱の中にいたあの文学者(ヒント:少年愛についてのエッセイで賞を取った)の会談の仮定との落差に思わず、笑ってしまいました。

2011/07/03

rinakko

うとりうとり、耽溺した。美しい貼函の百合の姿も、骨みたように見えてくる。

2014/09/26

hanaka

中身ではなく雰囲気を楽しむ本だが、聖家族の雰囲気が好き。口数の少ない叔母と暮らす血の気の薄い少年やら、逆に老若の姉妹たちに小馬鹿にされながら暮らしてる少年やら、設定が好み。しかし、雛祭の狂乱の様子を言い表した、「桃色遊戯」という単語は、森見登美彦作品で使用される際の意味が頭を過ってしまう。

2012/06/03

妖湖

図書館本。いつも利用する市図書館にはなかったので諦めていたが、さすが県図書館にはありました。『須永朝彦小説選』では読めなかった「滅紫篇」と「胡蝶丸変化」が読めて満足。うん、これは表裏の関係ですね。「滅紫篇」は最初の実隆の手紙で散々将軍義尚を持ち上げておいて、次の宗祇の手紙でピシャッと気持ちよく否定する。そして「胡蝶丸変化」では実は妖しげな陰謀があったと。「就眠儀式」「天使」で耽美にたっぷり浸れたのも良かったが、「ババリア童話集」がまた良かった。「山尾悠子作品集成」と並べて飾りたいが、それは不可能で残念。

2023/08/10

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