書物の王国 4 月
書物の王国 4 月 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
皆既月食の日、紫檀色の瞼から零れる黄金色の涙のような月の光を見た。ルドンの絵を彷彿とさせるような夜空を見た時に「月をテーマにした本を読みたい」と思い、借りる。夢野久作氏の「月蝕」の世界観が堪らない。まさにルナティック(狂気的)。ラブクラフトの「月の魔力」も恐れていたものがあったのに更にそれを上回る恐怖に耐えかねて恐れに向かうという構成は皮肉だ。山尾悠子さんの「月齢」のこの世のものとは思えない静寂で美しい光景に対し、人を神として崇める侏儒(腐った粘液持ち)の蠢きの悪夢さも絶品。「月光と硫酸」の転じ方は魔術的
2021/11/24
芍薬
月に魅せられ焦がれ狂っていく物語。 火野葦平「月かげ」や宮沢賢治「二十六夜」の物悲しい美しさが月にぴったりでした。
2012/10/14
きりぱい
風流で神秘的だけでない、陰寄りで妖しく狂気な月の選。須永朝彦「月光浴」、久住十蘭「月光と硫酸」、ディヴィッド・ヘンリー・ケラー「月を描く人」、岡本綺堂「月の夜がたり」辺りが好み。
2010/03/10
春色
月をテーマに31編。大きく枚数を裂いて掲載されているパニッツァの「月物語」の好みによって感想が分かれそうな1冊。個人的には、幻想的な雰囲気漂うケイペスの「月に撃たれて」、佐藤春夫の「月かげ」、岡本綺堂の「月の夜がたり」が好き。
2010/08/08
黒猫グリ子
月を題材にした美しい物語は確かにある。しかし、川端康成のエッセイ「明月」での中秋の名月の思い出、吉田健一「月」の登場人物である万七の月への傾倒。これらを読むと月は物語るものでは無く、実際に思い憧れ求める存在なのではないかと感じた。読了時、同シリーズ「王侯」にも登場した月の王、ルートヴィヒ二世が頭に浮かんだ。
2014/10/14
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