植物 (書物の王国)
植物 (書物の王国) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「毒よりの脱出」は植物と毒の勉強になります。「神秘のばら」は「美女と野獣」の野獣がいない版かしら?「花魄」、「藤の奇特」、「かざしの姫君」、「柳の精」は植物の魂が現世に実体化する物語達。「清貧譚」も同様だが、泥を被らずに清貧に生きられない人を簡単に批判し、実生活を蔑ろにする才之助にイラっとしてしまう。多分、学生時代に読んでいたら才之助に共感したのだろうが・・・。「花のこころ」は、花にも人間にも共通した「美しさ」を求める心が華やかな地獄の蓋を開けた事、「人間華」の愛のシーソーゲームに物語の楽しさを見出す。
2023/06/18
きりぱい
ピエール・ルイス、ワイルド、シューラー、小松左京、太宰、大坪砂男、山田風太郎、グリム兄弟、小泉八雲辺りが好み。誰?という作家も混じっているけれど、和洋中と読書好きをくすぐるような文豪が揃う短篇集。植物に関して集められた作品は、奇憚、寓話、SFなどと富んでいて、評論の中で植物関連の書物や神話などに言及している部分も興味深い。未収作品を集めた訳ではないので、既読も含まれてくるかもしれないけれど、テーマごとに20冊あるようなので、他の巻にも手を伸ばしたいところ。
2009/08/10
春色
植物をテーマに34編。同シリーズの「吸血鬼」「人形」と比べると、物語が少なめなのが残念。それでも大坪砂男の「零人」、山田風太郎「人間華」、内田百聞の「菊」などは流石。
2010/06/21
Като́н
ワイルドの『ナイチンゲールと薔薇』が矢川澄子訳だ。南方熊楠の文章読みにくいなあ。
2024/07/17
竜王五代の人
名作と言われるようなものでも、古典は苦手だ。クマグス先生の、切り跡を癒すことで切り倒されない巨木のエッセイとか(曹操と神木の逸話は出ても良かったのに)、中毒性の伝説で有名なロータスの「木」のエッセイとかは面白かった。幸田露伴は言いたいことが多すぎて本題が何だか分からなくなる、という評をたまたま読んだのがそのままで笑った。
2021/08/18
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