吸血鬼 (書物の王国)
吸血鬼 (書物の王国) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
小説はほぼ2/3は既読。その中で最も異色な怖さを放っていたのがシュトローブル氏作、森鴎外氏翻訳の「刺絡」。医者に化けて赴いた修道院の尼僧への無体・狼藉とその後の涜神ぶりに血の気が引いた。ポー氏の「ベニレス」は吸血鬼と言うより、執心に取り憑かれた人間の無意識の方に身震いした。歯の描写に思わず、口元を覆ってしまったもの・・・。ある意味、叙述トリック的な「仮面舞踏会」やエドガー・アラン・ポーの裏話的な「月のさやけき夜」、只管にハッピーエンド&「科学は人を救う」!な「吸血鬼は夜恋をする」も中々、楽しい。
2023/05/21
めがねまる
古典作品から現代の作品をジャンル問わず網羅。西洋の作家、日本の作家がほぼ半々に入ってるところも嬉しい。中国の説話、井原西鶴作の話もあり、幅広さに驚嘆しきり。解題で吸血鬼小説の成り立ちがざっと説明されておりありがたい。ざっと、と言ったが中身の濃い話を短く纏めてあるので個人的にはとても為になった。吸血鬼小説の読書案内も興味深い。今回は、日本に吸血鬼という存在が伝わるずっと前の話なのに、西洋の吸血鬼とそっくりの化け物が出る、井原西鶴「紫女」が特に印象に残った。井原西鶴すごい、そして吸血鬼という存在は面白い。
2017/05/12
マツユキ
今年は吸血鬼物を何冊か読んでいて、改めてこちらを。読みづらさはありますが、イメージ通りではない、色んな吸血鬼物が読めて、面白かったです。ポオが主人公の『月のさやけき夜』(ベレニス)、姉弟が押しかける『仮面舞踏会』(ダーレス)、台湾が舞台の『吸血鬼』(日影丈吉)が印象に残っています。評論、エッセイで、吸血鬼の歴史も読めて、もっと読みたくなりました。吸血鬼の印象は薄かったけど、円地文子が気になる。
2021/12/17
k16
20131027読了。 ポリドリ「吸血鬼」とステンボック伯爵「夜ごとの調べ」を読みたくて借りてきた。 その他いっぱい吸血鬼もの短編収録されており面白かった。 ポリドリ作とバイロン「断章」読み比べもできたり、ストーカーの「ドラキュラの客」も読めたり。 個人的にポオを主人公として書かれているウェルマンの「月のさやけき夜」ウィリアム・テンの「吸血鬼は夜恋をする」、マチスンの「血の末裔」、日影丈吉の台湾もの「吸血鬼」なんかがよかった。
2013/10/27
春色
吸血鬼をテーマにする英米、欧州、日本の短編・詩に加え、日本人の手による評論を足した一冊。/個人的には評論は希望してなかったのでガッカリ。けれど収録されている物はどれも面白い。この中では異色の「吸血鬼は夜恋をする」と、流石はポオな「ベレニス」が好み。
2010/04/30
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