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わすれなぐさ (吉屋信子乙女小説コレクション 1)

わすれなぐさ (吉屋信子乙女小説コレクション 1)

わすれなぐさ (吉屋信子乙女小説コレクション 1)

作家
吉屋信子
嶽本野ばら
出版社
国書刊行会
発売日
2003-02-01
ISBN
9784336044822
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わすれなぐさ (吉屋信子乙女小説コレクション 1) / 感想・レビュー

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あつひめ

こう言っては失礼かもしれないが、少女漫画の小説版…と言おうか。ついつい、引き込まれて読んでしまう。登場する少女たちの目に映る世界が言葉となって発せられた時、なぜか新鮮味を感じてしまう。女性が生きる時の息苦しさをさりげなく発信している。少女たちはいつの時代も茶目っ気あり、心に秘密あり。ちょっとタイムトラベルしたような気分で楽しめた一冊。

2016/07/14

tomo*tin

「少女」と書いて「をとめ」と読ませるだけあって、恥かしくなるほどの少女度である。少女たちの仄かな恋心や己が持たぬものに対しての憧れが、煌めいて眩しい。そして一見ライトに見える物語の奥に、言い知れぬ闇が隠れているように感じられたのは私だけだろうか。女という性に常識が期待しているものを美化してはならない、という著者の声は空耳か。少女が永遠に少女でいられるのは物語の中でのみなのかもしれない。あと本書において特筆すべきは注釈での野ばら氏のテンションの高さである。この人おもしろいね。

2009/06/22

めめ

3人の少女の物語。それぞれの家の事情や、社会的またはスクールカーストの身分、色々な要素が絡み合う。古典的な日本語の中に少女漫画のような軽い流行り言葉が混じっていて、堅苦しくない古典みたいな文体。散りばめられたお嬢様言葉が上品で優しい。ストーリー展開も思いがけない出来事で良かった。嶽本野ばらさんの巻末の解説も詳細で面白かった。「明治から昭和にかけて人気だった吉屋信子」についての紹介。「予定調和に収める事なくリアルな少女の心情を描き上げた」中原淳一の絵も素敵でした。

2022/03/14

だだ

金満家の一人娘は我が儘で奔放、亡くなった陸軍将校の家の長女はストイックで優等生、学者の家の長女は主人公で同級の2人に好かれ狭間で揺れる。コメディの要素もふんだんにあり思わず大笑い。こういう少女漫画たくさん読んだ気がする。彼女たちは5年制中学の3年生で14歳。時代は昭和6年で満州事変の年。彼女たちが20歳の頃に日華事変、24歳の時には太平洋戦争、そして28歳の時に終戦。生き生きとした物語の彼女たち、それを読んだ乙女たち、家を支えることを強いられた彼女たちに訪れたその後の厳しい人生を想像すると不憫でならない。

2015/01/30

壱片時乃

この作品を通読したのは二度目なのですが、本当に面白くて飽きません。文体は軽くてコミカルで、吉屋信子さんの作品の中ではかなり読みやすいと思います。「エス」小説としては間違いなく傑作、物語としても非常に上手くできています。吉屋信子をとりあえず読むなら、この作品をお薦めします。

2010/01/27

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